• 2015.08.28
  • リグーリア料理
イタリア料理は世界的に普及して多くの人に愛されていますが、1つの決まった料理があるわけではありません。イタリア料理には多様な地域的特性があり、イタリアの20州それぞれに特有の幅広い食材やレシピがあります。 
  リグーリア州ではペスト・パスタが代表的な料理です。ペスト(Pesto)は バジル、ニンニク、松の実を使った伝統的なソースで、その名前はすり鉢でバジルの葉を潰すためにかつて使用されていた「すりこぎ(Pestle)」に由来しています。いまでも昔ながらのすり鉢とすりこぎを使って作るイタリアのおばあちゃんもいますが、 ペストはフードプロセッサーで作ることができます。ペスト・ソースには世界中でさまざまな品種のバジルの葉が使用されていますが、リグーリア州の人々はバジル畑で有名なジェノヴァ市境の丘陵地、プラ産のバジルこそが「本物」のバジルだと信じています。世界各地のオーガニック製品や伝統料理を保護するための組織、スローフード協会によって、ペストは PDO(原産地名称保護)の料理に認定され、保護されています。ペストは、ニョッキ、スパゲッティ、トロフィエ(卵と小麦粉で作った地元の生パスタ)といったパスタにかけて食べるのが定番です。

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リグーリア州の代表料理:ペストをかけたトロフィエ、
チノット(ソフトドリンク)、ファリナータ


 
                                                                                     リグーリア州のもう1つの代表的な料理といえばファリナータです。ファリナータはひよこ豆の粉や小麦粉にオリーブオイルを混ぜて作った生地を薄く焼いたものです。巨大な丸い銅製のトレイに生地をのせて、薪釜オーブンで2、3分焼き、パリパリの食感に仕上げます。ファリナータはとても人気があり、地元の店にはお持ち帰りをする人や店内でファリナータを楽しみたい人で行列ができます。ファリナータを出す店はアットホームでカジュアルな雰囲気なので通常、予約を受け付けていません。

   

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  • ワインとファリナータの店、
    ヴィノ・エ・ファリナータ
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  • ひよこ豆粉と小麦粉のファリナータ
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               私たち地元っ子はよくテイクアウトを利用して、この地域の穏やかな気候を楽しみます。散歩をするときに、小腹が空くとよくフォカッチャ・ファルチータ(具材をはさんだフォカッチャ)をいくつか買って、海辺や公園でこの名物料理を味わいます。フォカッチャ・ファルチータは、チーズ、オリーブ、トマト、ローズマリー、玉ねぎ、そしてときにはチョコレート・スプレッドなど、さまざまなトッピングや具材を使ったリグーリア特有の平たいパンです。リグーリアのパン屋のなかには早朝、日の出とともに店を開けて、地元のダンス・クラブから家に朝帰りする人々のために焼きたてのフォカッチャを売っている店もあります。

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チーズ、トマト、チョコレートの各種フォカッチャ・ファルチータ


                                            美しい海岸線を誇るリグーリア州はリグーリア海に面しており、魚が豊富に獲れます。そのため、リグーリア料理には当然、アンチョビやタコ、ピグノリーニ(地中海産の小さな銀色の魚)などの魚介類がふんだんに使われています。
アンチョビはパルメザン・チーズ、パン粉、ニンニク、マジョラムとともに詰め物にして揚げ、タコはゆでて刻み、サラダに入れます。ピグノリーニはよく、地元の漁師が丸ごとフライにしてビーチで売っています。
リグーリアならどんな味覚でも、どんな胃袋でも、きっと満たしてくれるでしょう。ボナ・ペティ(さあ、召し上がれ)!

   

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  • ビーチで魚のフライを売る地元の漁師
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  •  ピグノリーニのフライ
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特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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