• 2018.03.02
  • リグーリア海に生きるクジラ目の生き物たち
ほんの数十年前、リグーリア海にはイルカやサメ、クジラがたくさん生息していました。しかし、大規模な漁により生息地が壊滅し、餌の確保が難しくなってきたため、この数年間はそれらの生き物が激減しています。
幸いなことに、クジラ目の生息環境を保護し、リグーリア海に魚を呼び戻すための新たな法が設置されたおかげで、今ではイルカとクジラが再び徐々に増え始めています。
サメも数匹いることがわかりました。といっても、人間には無害なサメで、彼らの住みかである海藻の色から「ヴェルドーニ(=緑色の)」という名前で呼ばれています。
これらの美しい生き物を見学するためのツアーも数多く、子どもたちは学校の遠足でホエールウォッチングを経験します。でも、子ども向けの企画ばかりではありません。
クジラ目の見学コースとして目新しいのは、フェリーやスピードボートを利用して、短時間でリグーリア海の沖まで出かけるというもの。この方法なら海面に出没する海洋生物の姿に遭遇しやすくなりますね。

リグーリア沿岸で行われる クジラウォッチングやイルカウォッチングには、いつもいろんな年代のイタリア人やフランス人、イギリス人が参加していて、自然愛好家や観光客、写真家といった人々に出会うことができます。ツアーはたいてい海洋生物学者や、この地域の特徴や生物の生態を説明できるリグーリア地方専門の環境ガイドによって運営されています。中には、有資格者の案内役がグループに添乗する大型船の長期ツアーもあり、それらはまた異なった観点からリグーリア海を探訪する内容になっています。ジェノヴァ市周辺の海には、イタリアとフランス、モナコ公国が調印して国際保護海域に指定されたエリアも含まれます。この海域を見下ろす丘の上の案内所には、1991年に設けられた国際鯨類保護区に関するビデオ資料などが見られるインタラクティブ展示室があります。
案内所に展示されたイタリア語と英語による説明付きの写真やビデオを視聴すると、地中海のこの海域には様々なクジラ目の生き物が生息、繁殖していることが分かります。地球上でシロナガスクジラに次ぐ大きな動物であり、体長18m、重さ50トンにまで成長するマッコウクジラはもちろん、スジイルカやマイルカもこの海域に広く分布していることなどが紹介されています。

数名の参加者を対象に少人数で催行される小型船のツアーなら、海洋生態系への環境影響を最小限に抑えながらより短時間で実施できるという利点があります。これらはシーサファリと呼ばれています。
安全に関する簡単な指導を受けたら、救命用ボートとスピードボートのちょうど中間のようなゴムボートに乗り込みます。
このタイプのボートなら、波に乗りながら新鮮な海の空気を楽しむことができます。少しずつ遠ざかるリグーリア海岸を背にしながら20ノットのスピードで進んでいくと、「海の真ん中」をひとり占めしているような感覚を味わえるはずです。
1時間ほどの航海で海岸から10海里(18キロ)以上離れたあたりで、クジラ目の生き物たちをじっくりと観察できるよう船長がボートのエンジンを弱めます。
遠くの海面にイルカの群れや巨大なマッコウクジラが突然現れたのを発見した瞬間の感動は何とも言えないものです。運が良ければクラゲを探している最中のウミガメに出会えるかもしれません。


ジェノヴァでクジラウォッチング

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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