• 2020.06.29
  • アウトドアと自然の魅力を再発見
新型コロナウイルス感染拡大による長期の自宅隔離、ロックダウンを強いられた日々を経て、イタリアは少しずつ、元の状態を取り戻しつつあります。
フェーズ2に突入した5月4日から人々は州内を自由に移動できるようになり、小売店舗や会社の一部が営業を再開。続いて5月18日にはその他の業種や商店も営業を再開し、6月3日にはようやくフェーズ3に入りました。
フェーズ3となった今、イタリア国内の全州の封鎖が解かれたので、以前は法律で制限され、許可証が必要であった州をまたいでの移動も自由にできるようになりました。私は、フェーズ2から3までの短い移行期間中、いつもなら町の外から押し寄せる観光客でごった返す、ここリグーリア地方のある素敵なスポットを訪れる機会に恵まれました。リグーリア海に突き出た美しい岬、プンタ・キアッパでハイキングを楽しんできたのです。
今年、人々はアウトドアの楽しみを渇望しています。ハイキングに出かける人も多くなっていて、イタリア人はこの夏、人ごみを避けるために山や田舎へと足を運び、自然と触れ合って過ごすだろうと予測されています。
今回のハイキングのスタート地点は、ポルトフィーノ州立自然公園にある小さな漁村のサン・ロッコ・ディ・カモーリでした。


サン・ロッコ・ディ・カモーリからの眺め

サン・ロッコは一方にポルトフィーノ湾を、もう一方にジェノヴァ湾を望む丘の上にある小さな集落です。この村は毎年、勇敢な行いをした人間の最も親しい友達(犬のことです)を表彰することでも知られています。
私が気に入っているリグーリア州のハイキングの名所といえば、間違いなくこのプンタ・キアッパ。短距離ながらも歩きがいのあるコースで、暖かい季節なら、ポルトフィーノ地域自然公園の保護湾で涼んだり、海に突き出した岩場で日光浴を楽しんだりすることができます。
魅力たっぷりのプンタ・キアッパにアクセスする方法は、徒歩かフェリーだけ。この村特有のカラフルな家が並び、崖の裏側の柵には漁網が下がっていて、タイムトリップしたような感覚が味わえます。
山を歩き慣れた人ならカモーリを目指すのもいいでしょう。内陸へと続く渓流沿いの道に出られます。
コースの序盤、ラバの通り道に沿った曲がりくねった道を行き、農地やオリーブ林、リグーリアらしい風情の家々を通り過ぎます。
上り坂の勾配は少々きつめですが、ゆっくりとした一定の歩調で進めば、頂上にたどり着くまでそれほど長くかかりません。
登頂まで30分ぐらいでしょうか。丘の上から望むカモーリ湾は本当に素晴らしいので、ここはひとつ足を止めて撮影をしたり、絶景を楽しんだりしてほしいものです。
もうしばらく歩いてプンタ・キアッパが近づいてきたら、それらしい階段に出くわします。ここまで来たら、目的地まであと30分。


プンタ・キアッパ岬のモザイク


海を見下ろすプンタ・キアッパ岬

道中、12世紀の中世期に建てられたサン・ニコロ教会が見えるはず。ここの広場からも素晴らしい海の眺めが楽しめますよ。
その後に続く雑木林は、ゴールが近づくにつれて木々がまばらになっていきます。やがてそれらの木陰も消えて視界がすっかり開けたら、夏期営業のレストランが数軒建つ海辺の小さな村、ポルト・ピドッキオに着いた合図です。
この地域のレストランが凄いのは、車でアクセスできないため、食材を水路で調達しているところ。
その日水揚げした新鮮な魚だけを提供する店もあったりして、私たちが地元の特産品を楽しむことができるのはひとえにこれらの典型的なレストランのおかげというわけですね。
一部を岩から掘り出してできた歩道が見えたら、プンタ・キアッパにめでたく到着したしるしです。
一年を通して開放しているので、保護海域でシュノーケリングが楽しめる夏も、空が澄みわたり、暑い時期のように海水浴客が殺到することもない美しい冬も、どちらも楽しめるのがいいですね。
海を見下ろす岩場と澄んだ透明な水に恵まれ、ここはまさに楽園の一角のような場所です。


隔たった場所にあるため、船で食材を調達する家やレストランもある

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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