5つの村のうち3つは「イタリアの最も美しい村(Borghi piu’ belli d’Italia)」クラブ認定の国家遺産リストにも名を連ねています。
美しく魅力的な村がごまんとあるイタリアですが、自治体や村の住民がルールを守り、村自体が常に整然としてきちんと好ましい状態に保たれていなくては、このリスト入りを果たすことはできません。
特徴ある古い家並みが中世時代に連れて行ってくれる静かな村、ペリナルドでは、とりわけ時間旅行を楽しんでほしいものです。
ここは1625年、イタリアの有名な数学者で天文学者のジョヴァンニ・カッシーニが生まれた村。村じゅうの壁に彼の歴史が刻まれたこの地を訪れ、この偉大な人物の生涯をたどる旅をしてみてはどうでしょう。
ペリナルドから数キロ先、「トカゲ城」ことカステッロ・デッラ・ルッチェルトーラという古城から見下ろす村がアプリカーレです。
アプリカーレ村の中央広場
ひっそりとしたこの村の、自転車やスクーターも含めていっさいの車両が通れないほど勾配がきつく道幅も狭い、静かで特徴的な路地は、訪れる人がほっと一息つけるような雰囲気です。中心部のピアッツァすなわち広場のまわりには小さなレストランが集まっていて、turtun(ズッキーニ入りのパイ)やcundiun(生野菜のサラダ)、cubaite(ハチミツとヘーゼルナッツのウエハース菓子)といった伝統的な地元料理から、ペスト(バジル、チーズ、松の実などを粉砕しオリーブオイルを加えたリグーリア地方発祥のオイルソース)のパスタのような正統派リグーリア風メニュー、ペストのチーズケーキなんていう現代風フュージョン料理まで楽しめる充実ぶり!
これが「ペスト」チーズケーキ!
次の村のイーゾラボーナは、ラテン語で「島」を意味するinsulaと「良い」を意味するbonaを合わせた、深い意味のある名前の村。ネルヴィア川とその支流のMerdazo水路のほとりの居住地に住む人々は、昔からホスピタリティの高さと人懐っこさで知られています。
そこからも近く、イタリア語で「甘美な水」という意味のドルチェアクア(ドルチェは「甘い」、アクアは「水」)には、ぜひ時間をしっかり確保して立ち寄ってほしいものです。他の村よりずっと大きいからというよりも、本当に素晴らしい村だからです。
モネの名画にも登場するドルチェアクア村と橋
芸術的な雰囲気も大いにあって、旧市街には美術専門店やアートギャラリー、ユニークで気の利いたショップがたくさん並んでいます。
大まかに言うと、ドルチェアクアは静かな玉石敷き舗道のある旧市街と大きな広場のある新市街の2つに分けられます。新市街の広場には、オープンエアの中庭で名物の赤ワイン、ロッセーゼ・ディ・ドルチェアクアを飲みながらディナーが楽しめるレストランもたくさんあります。
旧市街に入ったらすぐに出迎えてくれるのが、ご当地名産の赤ワイン(偽物)のロッセーゼが湧き出る泉のディスプレイ(もちろん飲めません)。
蛇口付きで半分に切った樽のような形の噴水は、この地ゆかりのアーティストが手掛けたものです。
「ロッセーゼ」の泉
リグーリアのこの村を撮ったたくさんの写真に登場する、ローマ時代の有名な橋もあります。
村で開催される特別展では、著名なフランス印象派の画家、モネの特集も行われます。モネの有名な作品のひとつに、この橋と村を描いた絵があるからです。
村には短期滞在用のアパートやB&Bもたくさんあります。ドルチェアクアは、とくにフランス人観光客にはおなじみの観光地。内陸部めぐりをする際のスタート地点としても最高だし、夏の暑い海岸エリアではなく涼しいところで過ごしたい派にも理想的なロケーションなんです。
村を上から見下ろすように佇んでいるのはドーリア城。1151年にヴァンティミリア伯爵が建てたこの城は、その後、ジェノヴァの歴史と密接な繋がりを持つドーリア一族のものになりました。当初のお城は、現在もその跡が残る円形の塔が中心にありましたが、その後ほどなくして、今の私たちが見ることのできる、谷間を見下ろすようにそびえる小塔のある四角い要塞の一部となったのです。
5番目にしてラストに登場するピーニャ村も、やはり外すことはできません。
白豆を使ったレシピと栗のケーキで知られるピーニャは、石造りの魅力的な家が建ち並び、緑豊かな峡谷の眺めが美しい丘の上の村です。
ピーニャはかつて温泉地としても有名でしたが、残念ながらイタリアでは人気が落ちて温泉は閉鎖され、温泉付きのホテルも取り壊しになってしまいました。
ピーニャ村
ピーニャ村からの渓谷の眺め