• 2021.10.13
  • リグーリアの食事のフィナーレ:パネッラ・ジェラートとキノット・リキュール
数か月前、今まで口にしたことがなかった地元の名物、パネッラ・ジェラートと食後酒のキノット・リキュールの2つを味わう機会がありました。
自家製のペストソースをかけた手打ちのトロフィエが食べられる、地元の素敵なオステリア(宿屋)が会場でした。これぞリグーリア地方!という味を体験したかった私は、食事の最後にこのご当地名物のデザートと極上の食後酒を注文しました。


私が味わったリグーリアの郷土料理

シンプルに「アイスクリーム」として知られるジェラートは、イタリア全土で人気があり、どこでもおいしいものが食べられます。リグーリア地方には、ジェノヴァ名物の「パネッラ」フレーバーの伝統的なアイスクリームがあるのですが、こちらはあまり知られていないようです。
パネッラ味のアイスクリームは、厳密に言えばクリームとコーヒーを使ったパフェ。パネッラは定義上パフェを意味するセミフレッドなので、アイスクリームと呼ぼうものなら怒り出すジェノヴァっ子もいます。
このアイスクリームの起源はかなり古く、19世紀まで遡ります。その歴史をひもとくと、最初の「パ」にアクセントを置いて発音するこの「パネッラ(panera)」という名前は、クリームを指すpa(パ)と黒を意味するnera(ネッラ)を組み合わせたものだということが分かります。
本来のレシピ(秘伝となっており、レストランごとにレシピが異なるそうです)がない状態で、それらしい味になるまで何度か試作を重ねた結果、どなたでもおいしく作れるベストなレシピにたどり着いたので、ご自分で作ってこのおいしさを味わってみてください。



セミフレッド・パネッラ
コーヒー粉 25g
成分無調整乳 250ml
グラニュー糖 200g
ホイップした生クリーム
作り方:
牛乳にコーヒー粉を入れて砂糖を加え、砂糖が完全に溶けるまで弱火で加熱します。
完全に冷めたら、目の細かいコーヒーフィルターで濾してコーヒー粉を取り除きます。
広口の平らな容器にこの液体を流し、冷凍庫に入れて固めていきます。30分おきに取り出し、全体が均一になるよう泡だて器で素早くかき混ぜます。完全に固まり切らずクリーミーな状態になったら、ホイップクリームを2回に分けて混ぜます。再び冷凍庫に入れ、時々かき混ぜながらしっかり冷やします。

キノット・リキュール
昔、リグーリアやフランスのカフェの多くは、マラスキーノ(マラスカ種のサクランボのリキュール)に漬けた小さな緑色の柑橘類がたくさん入った壺を、マジョリカ焼きのティースプーンとともに店のカウンターに置いていました。質と香りの良さで最高の食後酒として知られた、このアルコールに漬けられていた果物が、サボーナ産のキノットだったのです。この果物はスローフード協会のプレシディオ認定によるサポートのもと、リグーリア州のチェッレからヴァリゴッティまでの沿岸地域で栽培されています。中国原産の植物でしたが、16世紀頃にサボーナ県出身の海洋探検家がリグーリア州の海沿いに移植したところ、キノットの栽培には理想的な環境に恵まれ、時とともにその品質が向上していったのです。
キノットの特徴が生かされて、すばらしい柑橘系の後味と繊細なほろ苦さがわずかに舌に残る、強い飲み口のリキュールが出来上がるのです。
このようなリキュールの昔ながらの製法では、エチルアルコールと湧き水で作ったベースに薬草や天然の抽出物を浸し、あとからキビ糖を加えます。
私も、柑橘類だけ使ったオリジナルのキノット・リキュールと、バジルやミント、セージを加えた新しいバージョンの両方を試してみました。
新しいレシピで作ったキノット・リキュールは、レモンとキノットの柑橘系の香りとともにバジルやセージのハーブの風味が感じられ、さらにミントの爽快感もあります。個人的には、オリジナルよりもこちらが好みでした。
パネッラはそれだけで食べるものだと主張する向きもありますが、私はデザートにパネッラ、そのあとの食後酒にキノット・リキュールという組み合わせがすっかり気に入ったのでした。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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