• 2023.01.19
  • リグーリア・ブログ-五感で楽しむミュージアム
チッタ・デイ・バンビーニ・エ・デイ・ラガッツィ(「児童青少年の街」という意味)は、ジェノヴァにあるユニークな子ども向けミュージアムです。最初にこの博物館がオープンしたのは1990年代で、当初はジェノヴァ港の木綿倉庫の一角にありました。ですが、とても古いビルで改装工事が必要になったため閉館となり、つい先日、有名なジェノヴァ水族館のすぐそばに場所を移して営業を再開したのです。
もともとは、全年齢層の子どもを対象とした体験型の科学博物館でしたが、現在ではイタリア初となる「五感を刺激するミュージアム」となっています。

展示スペースは2000㎡もの広さを誇り、2歳から12歳までの子どもも同伴者の大人も、直接的な体験を通して自分自身と世界を発見するリアルな旅を体験することができます。
触覚や視覚、聴覚、嗅覚、味覚をフル回転させて知識を増やし、しかも楽しく遊べるというのが魅力ですね。
ここでは訪れた人が直接体験をするので、誰もが主人公。一般的な博物館とは違って、単なる外的現実の見物人ではいられません。
テクノロジー満載でカラフル、近代的で驚きがいっぱいのこの空間では、親と一緒に、あるいは課外授業で訪れた子どもたちがリアルな体験を通じて、より深くコンテンツを学ぶことができるのです。
この新しい体験型ミュージアムは、毎年スペースや展示、教育上のテーマを刷新し、進化させ続けるのだとか。訪れた人に常に新しいアイディアを届け、家族や学校にとってもジェノヴァをさらに魅力的な都市にする、何度でも足を運びたくなるような場所を目指しているというわけですね。
たとえば、あるエリアは丸ごと幼児向けになっていて、ヨチヨチ歩きの子どもたちが楽しく動き回ったり、学んだりできる屋内遊技場です。そのほかの五感に特化したエリアにはあらゆる年齢の子どもが遊べるインスタレーションが置かれています。インスタレーションは子どもの年齢層に合わせて複雑さや学習内容が変わるというスグレモノ。
この新しいミュージアムには、「建築中の家」と名付けられた、就学前の子どもたちが一軒の家を「建てる」エリアもあります。手押し車やおもちゃのレンガ、その他の道具を自由に使って、建築現場で働く体験ができてしまうのです。ヘルメットやベストを身に着けて1日建設作業員になり切った子どもたちが、「未来の都市」と呼ばれるこの空間で建築の技術やサステナビリティを学ぶのです。


いずれかの五感に特化した各エリアは、体験と学びの場でもあります。
「聴覚」ルームでは、音声テストをしたり、リズムや音楽などについていろいろ学んだりすることができます。


「嗅覚」の部屋では、強い香りを放ついくつかの球体を嗅いでその正体を当てる、という面白い遊びができます。それらの球体を室内に設置されたプラスチック製の大きな鼻孔のそばで揺らしてみると、スクリーンやロボットの機械音声で正解を答えてくれるという、なんとも楽しい仕掛けになっています。


「味覚」の部屋ではその名のとおり、味覚について詳しく学ぶことができるのですが、衛生上の観点からインタラクティブなアクティビティは行われていません。
手触りの異なるものを触り、そのモノが何かを当てて遊べる部屋と言えば、もちろん「触覚」ルーム。子どもたちは箱の中のものに手を触れて、その形状からそれが何かを当てっこするのです。


巨大な空間にさまざまな視覚的効果を凝らした「視覚」ルームには、光や影などを使ったゲームが用意されています。
各部屋には数種類のアクティビティと、それぞれの現象について解説した、子どもも大人も読めるパネルが展示してあります。

このミュージアムに我が家の3歳の息子を連れて行ったところ、私も子どもも大いに楽しめました。新しい知識を得られるし、体験型の学習は子どもだけでなく大人にとっても最適な方法です。ただ文字を読むよりも、自分の体を通して学ぶほうが知識としてずっと記憶に残りますからね。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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