• 2025.09.16
  • ブログリグーリア - 年金と福祉
これまで政府が手厚いサポート体制を維持してきたこともあり、イタリア人は社会福祉に頼りすぎる傾向があるようです。しかし、状況は少しずつ変化しています。
2030年以降には、若年労働者の減少や高齢者の増加の影響で、福祉制度が危機的な状況に陥ると予測されているのです。
第二次世界大戦以降、イタリアの社会福祉システムは目覚ましい発展を遂げました。これは、1948年に制定された、社会的連帯と経済的正義の原則を盛り込んだ憲法のおかげです。

イタリアの福祉制度は、ユニバーサル・ヘルスケア(すべての人が利用できる医療制度)、公的年金、失業保険、家族手当、公教育、公営住宅などの公的サービスと社会扶助が複合的に組み合わされています。
しかし、ここ数十年にわたり、不安定な経済状況や人口動態の変化、財政負担の増大などにより、イタリアの福祉制度は重大な課題に直面しています。財政的な持続可能性を確保し、効果的な公的サービスを提供し続けるためには、制度の改革と改変が不可欠となっています。

では、イタリアの年金制度とはどのような仕組みなのでしょうか?
これについては専門家や政治家も議論を重ねています。経済学を学び始めた人にとっても、単にこの国の重要な一面に興味を持った人にとっても、年金制度の仕組みを理解することは不可欠です。
まずは基本的な考え方から始めましょう。年金制度は、加入者に社会保障給付を提供することを目的として設けられました。これらの給付は社会全体への公的支出であり、国民が負担する税金によって賄われています。また、年金制度では、特定の国民層のための社会保障制度も規定しています。各国にはそれぞれ独自の年金制度があり、その種類もさまざまです。
イタリアの年金制度は、公的年金、集団補足年金、そして個人型年金の3つの柱で構成されています。

第一の柱である公的年金は、加入が義務付けられています。全国社会保障機関(INPS)によって運営され、対象者は公務員、民間企業の従業員、個人事業主、さらにフリーランスも含まれます。
制度は賦課方式を採用しており、労働者が保険料を支払い、67歳で年金受給資格を取得します(ただし、受給年齢は法律の改正や性別、職種、その他の条件によって異なります)。

第二、第三の柱となるのが補足年金と個人型年金です。イタリアでは、法令により補足年金制度が設立され、年金基金制度および民間団体と個人の保障制度が整備されました。これらの年金への加入は任意であり、加入義務がある公的年金の代替となるものではありません。公的年金に上乗せする形で追加の社会保障給付を提供することを目的としたもので、この制度では労働者が追加で年金基金に拠出し、その資金は金融市場に投資、運用されます。そして、退職年齢に達した際に補足的年金として受け取ることができる仕組みです。


イタリアの福祉制度におけるもう一つの重要な側面として、解雇手当があります。解雇手当とは、どのような制度なのでしょうか?
これは、企業が一時的に経営不振に陥り、仕事が停止または縮小された際に、労働者が給与の一部を受け取ることができる制度です。
通常の解雇手当は、客観的に見て不可避な出来事による短期間または一時的な経営危機の際に支払われ、特別解雇手当は、企業の深刻な経営危機や会社再編といった、より長期間にわたる事態の際に支給されます。
一時的な危機(長さはまちまちですが)の場合、労働者が就労できなかった期間に対して、本来受け取れるはずであった給与の80%を全国社会保障機関が保障します。

そのほかにも、就労が困難な障害者に対する障害年金、最長12か月取得可能な出産・育児休暇、家族の病気に対して利用できる介護休暇など、さまざまな社会保障制度が設けられています。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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