• 2025.10.28
  • ブログ・リグーリア - イタリア流子育て
ここ数年の間に、私はさまざまな国を訪れてきました。訪れた先々で、子育てや子どもの発達について独自の考え方や見解があることを知りました。私は子育ての多くをアメリカと現在住んでいるイタリアで経験してきましたが、時には正反対ともいえる両国の育児観の間でうまくバランスを取ることを常に心がけています。
日本の子育てについては詳しく知らないので、とても興味があります。
このブログを通じて、日本の子育て方法がイタリアに近いのか、それともアメリカに近いのか、より明確にお分かりいただけると思います。

分かりやすい例から始めましょう。子どもが棚や高い窓台に登りたいと言ったら、あなたは許しますか? アメリカでは、許します。なぜなら、小さいうちに自分の能力やバランス感覚を知ることで、将来的なリスクが軽減できると考えられているからです。一方、イタリアの親の多くは「ヘリコプターペアレント」と呼ばれ、子どもを常に監視・干渉し、一挙手一投足を注意深く見守り、あらゆる危険や事故から必死に守ろうとします。
おそらく、こうした子育て方法の違いは長い時間をかけて培われてきたものであり、家族が子どもに何を期待するかに起因すると考えられます。アメリカの親にとっての最優先事項は子どもたちの自立である一方、イタリアの親は子どもをあらゆる危険から守り、できるだけ長く家族のそばにいることを重視しているのでしょう。
私はイタリアでもアメリカでもベビーシッターの仕事をしたことがありますが、両国の違いは家の中での過ごし方から始まることに気がつきました。小さな子どもがいるアメリカの家庭では、汚れたり傷つけられたり、時には落書きで台無しにされても問題ないようなスペースや家具が用意されており、高価で汚れを拭き取りにくい家宝や装飾品などは置かれていません。その代わりに、水槽や大型の観賞植物、野鳥の餌台など、自然にまつわるさまざまなものが置かれており、子どもたちは生き物や自然に触れ、責任を持って世話をする機会を与えられています。これにより、生命の自然の営みを身近に観察できる環境が整えられているのです。


対照的に、イタリアの家庭では、実用性や効率性よりも細部へのこだわりを重視する美的感覚が重んじられています。家のあちこちには壊れやすい装飾品や慎重に扱わなければならないものが置かれており、子どもの立ち入りが禁止されているエリアもあります。イタリアの子どもたちが自分の生活空間を自由にアレンジできることはほとんどありません。例えば、イタリアの子どもたちが電気器具や台所用品を上手に使って、自分でおやつを用意することはあまりありません。おそらく、イタリア人にとって、それは子どもがする必要のないことだからなのでしょう。
イタリアの親は、常に子どものそばに寄り添い、彼らに代わって社会との関わり方に介入することが自分たちの役割だと考えています。しかし、この姿勢は時に問題を生むこともあります。例えば、子どもが自分で着替えたり食べたりするという基本的な行動さえ、自分でできることに気づかなくなってしまう場合もあるのです。
こうした育て方は、子どもの一般的な自己認識の獲得を妨げるだけでなく、成長したい、試したい、学びたい、実践したいという欲求も摘み取ってしまいます。簡単なことから始めて常に新しいことに挑戦していく習慣がないために、不満がたまり、癇癪を起こしてしまうことが非常に多いのです。
イタリアの子どもたちは、愛する家族のすぐ側で育ち、彼らの手厚い世話を受けながら成長します。独立して家を出ることは悲劇の原因とみなされていて、遅かれ早かれ起こることだとしても、まるで無期限に延期できるかのように考えられています。

その後の人生においても、イタリア人は家族の生活に深く関与し続け、家族全員の希望や期待を裏切らないよう妥協することが求められます。
結論として、イタリアの子どもたちは人生の大半を「子ども」として扱われながら過ごします。しかし、その過程で自身の感情や情熱を深く理解することができるようになるため、利己的な考えをすることがなくなり、周りの人たちの幸せを考慮する習慣が身に付きます。

一方、アメリカでは、18歳になると社会の一員となって能動的かつ生産的な役割を担い、さまざまなサービスや機会などを利用できるようになります。そして、それに対して強い市民意識と愛国心をもって応えることが求められます。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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