ポートランドの北に位置するソービ島は、ポートランドの「ビーチ」として知られています。ポートランドから一番近い「本物の」ビーチエリアはオレゴン・コーストですが、
この島のビーチとされる川岸は砂になっており、暖かい時期には郊外でのピクニックやアウトドアにもってこいのスポットなのです。ソービ島には、暖かく晴れた日に観光客がコロンビア川を満喫できるビーチが5つあり、アクセスのしやすさはそれぞれ異なります。中でも最も大きいのは恐らくコリンズ・ビーチで、とにかく広く、誰もが十分な場所を確保できるので、騒がしい「隣人」にじゃまされることなくのんびり過ごすことができることうけあいです。多くのポートランダーは週末になるとここへやって来て、読書や凧揚げをしたり、ドローンを飛ばしたり、犬の散歩をしたりします。リードでつなぎ、後始末をちゃんとすればペット同伴もOKです。ソービ島のビーチは自然のままで、主に日光浴に利用されています。当番の監視員や水泳用品のレンタルショップもないので、泳ぐ人はめったにいません。ここに来る人はたいてい、椅子や日傘、釣りざお、スポーツ用具を持参してきます。島にはレストランがいくつかありますが、ビーチのそばにはありません。春や夏にビーチを訪れるポートランダーは、クーラーボックスに軽食を詰めてくるか、あらかじめピクニックのプランを立てています。水辺でのたき火や宿泊キャンプは法律によって禁止されているので、日中しかビーチに人の姿は見られません。島のビーチへ向かうには、たった1本の2車線の橋を渡るしかありません。ポートランドから出かける場合には、ソービ島ブリッジ(Sauvie Island Bridge)の入り口に続くハイウェイに乗る必要があります。島に着いたら、駐車違反にならないように必ず駐車許可証を購入し、ビーチや島内に駐車します。これは通行料か使用料の一種と思ってもらえればいいかもしれません。ソービ島通り(Sauvie Island Road)を2マイル(約3.2km)ほど進むと、果物畑や野菜畑に囲まれた古い農園にさしかかります。農園はどれも家族による所有・経営で、一部の農園では自家用の果物や野菜を栽培していますが、ほとんどは農園を訪れる観光客や、ポートランドのサタデー・マーケットのような地元の市場向けに作物を販売している、有機認証を受けた農園です。中には「ユー・ピック・ファーム(自分で収穫できる畑)」と呼ばれるものもいくつかあり、そこでは観光客がバスケットや小型のカートを借りて、トラクターで畑まで移動し、畑に実る季節の果物や野菜をその名のとおり自由に収穫したり、無料で(ただし節度をわきまえて)試食したりできます。
友達と畑で収穫したカボチャ 絵のように美しい島にあるこうしたユー・ピック・ファームは、農業だけでは立ち行かなくなったこの島で、観光客や旅行者を惹きつけるために90年代の終わりに考案されたものです。最初にオープンした農園は、初めはイチゴを栽培していましたが、現在では規模が拡大して、15種類以上のベリーを80エーカーを超える土地で栽培するほどになりました。また、イチゴがシーズンオフの春や秋に、花やカボチャのユー・ピック・ファームを運営する農園もあります。
花の季節のユー・ピック・ファーム
カボチャの季節の農園
農園では1年を通して多くのイベントが開催されますが、こうしたイベントはソービ島の入り口に貼られている収穫カレンダーに基づいて実施されます。このカレンダーには農園リストや収穫物、収穫時期、それぞれの場所で行われるイベントなどが記載されています。地元で人気のあるイベントは、ハックルベリー・フェスティバル(Huckleberry Festival)、パンケーキ・コンテスト(Pancake Baking Competition)、ラベンダー・マーケット(Lavender Market)です。ハックルベリー・フェスティバルは島を訪れる絶好の機会で、気に入ったハックルベリー製品を何でもまとめ買いできます。焼きたてのハックルベリー・パイ、農園特製のハックルベリー・ジャムやキャンディー、ハチミツ、冷凍したハックルベリー・パイもあります。農園内のカフェではパイを試食しながら、温かいハックルベリー・アップルサイダーやクリーミーなハックルベリー・ミルクシェイクを飲むこともできますよ。パンケーキ・フェスティバル(Pancake Baking Festival*)では、地元農家の女性たちがおいしいパンケーキ作りを競うコンテストが行われ、出来上がったパンケーキは試食審査員として参加する観光客に販売されます。このフェスティバルでは一般的な材料はもちろん、珍しい材料を使ったパンケーキメニューもあり、ブルーベリーやマリオンベリー、ハックルベリー、クルミ、ハチミツ、そしてアーモンドを使ったパンケーキも登場します。ラベンダー・マーケットは島のあちこちで開催され、さまざまな露店が花やフラワーエッセンスを販売します。ソービ島は毎年この時期になると紫色に染まり、また季節ごとに違った色彩に彩られます。