• 2016.03.29
  • 田舎町、クーニャ
山に囲まれていて、空気が良く、住民が気さくで、ゆっくりしたい時、おすすめなのが、クーニャ(Cunha)の町です。サンパウロ市からリオ・デ・ジャネイロ州に向かって217km離れたところにあります。人口は2万2千人(2015年)です。

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この町を囲むように、セーラ・ド・マール(Serra do Mar)州立公園があり、ヒマラヤスキ、イぺウッド、ペロバの木などが多く、アナナスや蘭、シダ植物も多くみられます。そしてサンパウロ市、クーニャの町などと6郡にも広がるボカイナ(Bocaina) 国立公園があります。滝までのウォーキングや、18~19世紀にミナス州からリオ・デ・ジャネイロ州のパラチの町まで黄金を運ぶために奴隷たちが造った道があります。
高さ1840mのマルセラ(Pedra da Marcela)岩があり、そこからの全景は海も見れて美しいとのことです。

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標高1000mの高原で、風が強く、乾燥した土に最も適しているのは、ラベンダー畑です。2014年からこの地にはブラジルでは珍しいラベンダー畑が作られ、観光客を多く呼んでます。そこには小さな店があり、乾燥させたラベンダーの販売の他にラベンダ―油で液体石鹸、固形石鹸、マッサージ用のオイルなどを販売してます。ラベンダ―の香りが広がるこの高原から見る景色も最高です。

 
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クーニャの町は陶芸家が集まっている町としても有名です。1975年に日本人のトシユキ、ミエコ・ウケセキ(Toshiyuki, Mieko Ukeseki)ご夫妻、ポルトガル人のアルベルト・シドラレス(Alberto Cidraes)氏 と、ミナス州から来たヴィセンテ・コルデイロ(Vicente Cordeiro)とアントニオ・コルデイロ(Antono Cordeiro)兄弟が、初めて登り窯を作りました。登り窯とは日本の陶磁器焼成のための窯の一種類で、数室が連続に斜面地に造られ、最下部に焚き口、最上部に煙出しがあります。クーニャでは今でもユーカリの薪で炊いてます。ブラジル国内で、10か所に登り窯があるうち、5か所がクーニャにあるとのこと。粘土の質が良いことで、楽焼など他の陶芸家が集まりました。
現在では町の観光案内だけでも、18か所のアトリエが紹介されてます。ワークショップ、見学、窯出しなどイベントは多く、各アトリエで、陶芸家と直にお話を聞くことができ、即売もしてます。
  
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先日私は、1985年からクーニャの町で登り窯を始めたアトリエ・スエナガとジャルジネイロ(Atelier Suenaga e Jardineiro)(写真上2枚)と、2009年にオープンしたアトリエ・ギャラリー・トウカイ(Atelier Galllery Tokai)(写真下2枚)に行き、素晴らしい作品を見てきました。

そしてクーニャはフォルクスワーゲンの町としても知られてます。フォルスクワーゲンのビートルです(最初に出たモデル)。町に登録されているバイクと自動車を合わせた数の30%はビートルとのこと。今でもこんなにも多くの人に愛用されている理由として、土道にも急な坂にも強いとのこと。ビートルの事をこちらでは、フスカ(fusca)と言います。年に1回、夏にフスカのパレードが町の中心で行われ、各地から自慢のフスカをこの町で披露します。この集まりをフスカとクーニャを合わせて。フスクーニャ(Fuscunha)と名付けてます。

このように観光客が多く集まる町ですが、田舎の町の雰囲気は変わることなく、どこを見学しても、何かしら落ち着きます。空気がおいしいからなのか、周りに山が見えるからなのか、時間がゆっくり過ぎて行く気がします。だから、この町を幾度も訪ねてみたくなるのかもしれません。


特派員

  • 皆木サンドラ 奈美
  • 職業語学教師、ペーパートールクラフター

ブラジル生まれのブラジル育ち。大学卒業後、夫の仕事の関係で3年間滞在したシンガポールにおいて習得したペーパートール(=シャドーボックス)や語学を教えています。多国の文化や習慣を上手に混在させているサンパウロでの生活がとても気に入っています。

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