• 2019.12.03
  • 教育事情
ブラジルにも義務教育はありますか?
と良く聞かれます。今回はこちらの教育事情を書きたいと思います。
義務教育は4歳から17歳までです。2006年から決まったことで、3月31日までに4歳になった者はEnsino Infantilと言って幼稚園に入園が義務付けられました。Ensino Fundamental (基礎教育)と言って日本の小、中学生は9年間で、3月31日までに6歳になった者が1年生です。以前、小、中学校は7歳からで8年間でしたが、より長い年数学校に通わせて、良い教育をしていくと言う思いから変わったようです。公立学校では年間に最低200日間の授業、合計800時間が要求されます。公立幼稚園でも同じ日数です。私立学校では、各学校が授業日数を定めますがほぼ公立学校と同じくらいです。
義務教育の後は、中等教育(高等学校3年間)、高等教育(大学)普通科4年間、建築、技術、法律科5年間、医学科6年間で、修士課程2-4年間、博士課程は4-6年間となってます。


公立の幼稚園と小、中学校の時間帯は2部制で8:00-12:00 と13:00-17:00です。全日制もあり、8:00-16:00です。私立学校は朝の7時や7時半に授業が始まる学校も多く、同じく2部制がほとんどです。
時間が限られていることより、家庭科、音楽や技術の授業はありません。例えば、音楽の場合であれば、習いたい楽器を家庭教師を呼んで習ったり、音楽専門学校で、レッスンを受けたりします。
体育の時間はありますが、ほとんどがバレーボール、フットサル、バスケットボールなどのチームプレイ競技を覚えてプレイするだけです。陸上などはありません。ですので、日本で行われるマラソン大会や運動会は学校の行事にありません。卒業式はありますが、入学式と授業参観はありません。水泳の授業もなく、泳ぎを習いたい者は個人でスポーツクラブやスイミングスクールに通います。幼い頃は、はっきり何をしたいか、または何を習いたいのかがわからないものです。ですので、親が色んな情報を集めて、自分の子供に習い事をさせて、子供が興味を持つ、または得意とするものを探していくようです。


新学期は1月の末または2月に始まり、4学期制で、12月で終わります。学校の選択は地区で分けているのではなく、親が学校を選択します。そのため、市バス、スクールバス、または親の送迎が多いです。サンパウロ市は大都会で交通量も多いうえ、盗難や人質などの恐れがあるため、小学生の一人歩きは殆ど見かけません。
ブラジルの教育では義務教育でも落第制があります。国の教育プランでは、2024年までには、95%の生徒が基礎教育を17歳で卒業することです。しかしながら実際は公立学校で卒業した23%の生徒は最低1回は落第したことがあるという。私立学校ではその数値は7%とのこと。落第生がいるということは、先生の教え方に問題があり、生徒が勉強していない、その上、国としてはお金がかかっている。と言うことを示します。そのため、より早くから教育していく事が重要になって、義務教育が4歳児からとなったようです。
基礎教育と中等教育は、一般に私立の教育水準が高いです。
なかなか難問を抱えているブラジルの教育ですが、その中でも公立学校は高等教育(大学)まで授業料が一切無料と言うメリットがあります。経済的に余裕のある者は、中等教育まで私立で勉強して高等教育は公立を狙うのです。

特派員

  • 皆木サンドラ 奈美
  • 職業語学教師、ペーパートールクラフター

ブラジル生まれのブラジル育ち。大学卒業後、夫の仕事の関係で3年間滞在したシンガポールにおいて習得したペーパートール(=シャドーボックス)や語学を教えています。多国の文化や習慣を上手に混在させているサンパウロでの生活がとても気に入っています。

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