- 2016.02.12
- LAストリートアートとまちづくり
LAの暮らしの何が魅力的なのか。ロサンゼルス市長室地区計画・住環境スペシャリストで友人の、アシュリー・アトキンソンさんのAmerican Planning Association California Chapter Los Angeles のインタビューの言葉を借りて言うと、それは一言で「自分のライフスタイルに合った暮らしが選べる」こと。「セレブウォッチング をしながらの暮らし、ダウンタウンでの都会的な暮らし、パサディナ での郊外暮らし、経験してみたいこと興味をそそるものは全てここにある」2012年の暮れ頃にLAに移り住んでから、若干3年程度の私もすっかりLAに魅了されています。特に過去5、6年で劇的に変化を見せたのはDTLA(ダウンタウンロサンゼルス)ではないでしょうか。12,000人以上の慢性的なホームレス問題を抱える一方で、1棟当たり60万ドルから2億ドル(日本円で約7,200万円から約240億円)するマンションが建築されるなど、DTLAは貧富の格差や経済的不平等が止みません。また、高級住宅を建設することで、中心市街地を活性化させるはずが、実際に購買力があるのはロサンゼルス市民ではなく、中国など海外の投資家たちであり、その結果住民のいないゴーストタウンを築いてしまうのではないかという憶測もあります。都心部空洞化を防ぐはずのプロジェクトが、皮肉にもドーナツ化現象を招きかねないという、問題です。こうした問題にアートを以て地域経済活性化やプレイスメイキングに積極的に取り組んだのもDTLAです。プレイスメイキングとは公共空間を使う人の視点に立って、ちょっとした改善の一手を加えることで、人々に利用され、賑わいと活気を生み出す場所へと生まれ変わらせる考え方を指します。ダウンタウンの至る所にある信号制御盤ボックスをアートのキャンバスに見立て、LAのローカルアーティストに自由にペイントさせるという、ロサンゼルス市とそのコミュニティーの企画は、アーティストたちに公共ギャラリーの機会を与えたばかりではなく、そのアートを見物に郊外に住む人たちを迎えるプレイスメイキングとなりました。元ロサンゼルス市議会員事務所プランニングディレクターの夫も、この企画を率先して遂行し、ストリートアートを介してDTLAの活性化に大きく貢献しました。 また、彼が現在役員を務めるDO ART FOUNDATIONは、2015年11月にダウンタウンLAにオープンしたグルメスーパーマーケット 、Whole Foods Marketsに壁画を完成させました。壁画はイタリアのストリートアーティスト、2501 (Jacopo Ceccarelli)による、32m x 5m にも及ぶものです。 ダウンタウンに敷き詰められたクオリティーの高いストリートアートを観賞しながら、より多くの郊外住民が今まで踏み入れたことのなかったDTLAの一角に触れるという、ストリートアートツアーも組まれています。近代美術と現代美術を飾ったLA ART SHOWが1月27日 から31日までLAコンベンションセンターにて開催されましが、このLA ART SHOWと合同で、壁画ツアーが催されました。主催者となったのは、LA 壁画委員会(The Mural Conservancy of Los Angeles) です。 この背景には、文化的なツアーリヅムによって、ロサンゼルスという「まち」を賑わいと活気に溢れさせ、より 多くのアンジェリーノ(ロサンゼルス市民)に愛される場所へと生まれ変わらせようという、熱い思いが込められています。