• 2019.11.13
  • オーストラリアで通信教育:その1
私はつい最近オーストラリアで会計、簿記の資格を取得しました。英語では会計のことをAccounting 、簿記のことをBookkeeping と言います。資格も一番低い1から4までのレベルがあり、私はCertificate 4(サーティフィケート4)を取得しました。ただ、このサーティフィケート4が最高位のレベルかというとそうではなく、この次はディプロマというよりさらに高度な専門知識を身に着けるレベルがあり、さらに上の学士号のバチェラーディグリー(Bachelor Degree)そして大学院で取得するレベルの修士号(Masters Degree)、博士号(Doctoral Degree)という順になっていきます。私の取得したサーティフィケート4は通常1年から1年半の学習期間で取得できると言われているものですが、今回は通信教育で仕事の合間に勉強を進めていきました。日本でも通信教育をした経験がなく、しかも海外で通信教育の仕組みもよくわからず英語での勉強でしたので不安でしたが何とか終了することができ無事資格を取ることができました。オーストラリアでは永住権保持者はオーストラリア市民と同様に国から学費の援助が受けられ、何割か学費が安くなります。シングルマザーや退職者などのペンショナーにはさらに国からの援助が受けられます。私の受けたコースは会社からの推薦状があればクイーンズランド州からの学費援助が受けられるものでした。学費を払い、必要書類もすべて提出すると、メールでこれから利用する通信教育のウェブサイトが送られてきました。そこにアクセスし、合計13個の科目をそれぞれ終了し、すべて合格すると資格が取得できるという手順になります。さあいよいよ勉強開始!と張り切っていたその矢先、このコースを受けるにあたり、受講者が適正であるかどうかを調べるテストをパスしなければなりませんでした。適正テストは3つあり、一つはWork Health and Safetyというオーストラリアで働く際の職場での安全基準を学ぶコースです。これは資格の分野が異なっても全ての受講者が必ず受けなければならない政府が定めているコースです。そして、英語でのコミュニケーション能力テスト。もう一つは簡単な計算のテストです。安全基準テストはテキストを読めば答えも見つかるものですぐできましたし、計算のテストは掛け算や引き算、割り算やグラフの読み方などで簡単でしたが、問題は英語でのコミュニケーション能力テストでした。このテストは自分を含めた3人があらかじめ提示されたシチュエーションでそれぞれの役をやり英語で会話をしてそれを録音したものを提出するというものでした。学校で勉強する場合は面接があったと思いますが通信教育なので会話の録音を送るというシステムなのです。学校側から提案されたシチュエーションは自分がブックキーパー(簿記をする人)として小企業のオーナーとその会社の経理担当者にお勧めの会計ソフトを提案するというシナリオでした。少なくとも10分の会話を録音しなければならず、シナリオもすべて自分で考えなくてはなりませんでした。10分会話をするのは意外と長いものです。10分も何を話そうか。。とかなり悩みましたが、私は会計用のソフトウェアを仕事で既に使っているため、その利点や仕組みなどもなんとなくはわかっていたので、シナリオも思ったよりもうまく作ることができました。しかもこの試験は会話の内容の会計ソフトウェアの仕組みや会計、簿記についての専門的な知識や詳細については採点の対象にはならず、間違っていても問題ありませんでした。それよりも英語でスムーズに自分の意見を述べ、相手の要望や意見など言っていることを聞き取り上手くコミュニケーションがとれるかという点が重要になってくるので、録音する前に自分で書いたセリフを何度も何度も練習しました。本来は大雑把な内容だけ決めてぶっつけ本番で自然と受け答えしていくほうが、英語のコミュニケーション能力を試される上ではいいのかもしれませんが、英語で流暢に10分も会話をする自信がなかったので私はすべて台本を作ってしまいました(笑)。台本もできあがり、友人のオーストラリア人に依頼をし、企業のオーナー役、経理担当者役として参加してもらい、何とか10分の会話ができお蔭でこの試験も1回でパスし無事に資格の勉強に取り掛かる準備ができました。始まる前からこんな難関が待っていてこの先長いなとワクワクよりも不安のほうが大きかったのを覚えています。その2では実際にどのような手順で通信教育を受けたかをご紹介させていただきます。

特派員

  • 菅沼 千栄子(旧姓 名倉)
  • 職業会社員

2000年に渡豪。日系旅行会社勤務等を経て、2014年から現地建設会社に勤務。休日は、趣味の一つであるソイキャンドル作りやビーチウオークを楽しんでいます。当地のレアな生活情報をお伝えしたいと思います。

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