このトラム延伸計画中止に地元住民は賛成、反対の意見に大きく分かれました。ちなみに、私個人の意見としては、中止になって良かったというか、そもそも必要なかったのではないかと思っております。私の住んでいるマイアミというエリアは、南端最終駅のバーレーヘッズより手前になるため、トラムが通ることになります。マイアミの住民にしてはトラムが走るのは便利になりますが、私の場合は賃貸で住んでいるのでいずれは引っ越すかもしれませんし、トラムが無くてもいいと思う一番の原因は、トラムが走ることによって道路幅が狭くなり渋滞がさらにひどくなるという点です。というのもトラム工事がはじまってからゴールドコーストを走るゴールドコーストハイウェイの渋滞はひどく、運河の多いゴールドコーストでは抜け道も少ないため渋滞が以前よりも断然目立つようになりました。また、ゴールドコーストはシドニーやメルボルン、ブリスベンのように電車やバスの路線が網羅しておらず限られているので、基本車での移動になります。そこに真ん中に一本だけトラムが通ったところでそれを利用できる人は限られてくるのではないかという点です。トラムの駅から近いホテルも限られているので観光客にとってもそれほど便利なものではないのではないかと思ってしまいます。
実はかなり昔、1925年頃、ゴールドコーストにトラムが走っていた歴史があります。しかし自動車やバスの利用者が増えたことにより赤字が続き、1960年代に徐々に廃止され、線路は撤去されて道路として使われるようになりました。そんな経験をしているのになぜまた大規模なトラムを作るのかと疑問に思ってしまいます。
少し話はそれますが、ゴールドコースト空港に国際線ターミナルが新しく増設されましたが、日本行きや、マレーシア、シンガポールなどのアジア便も撤退し、現時点で利用されているのはニュージーランド線のみ。将来国際線がもっと増える見込みで建設されたかもしれませんが、現状ではまだ計画通りには活用されていません。なんだかネガティブな意見が多くなってしまいましたが、これらはすべて長期的な戦略としての投資の一環であり、将来的な都市の発展に備えて今から準備しているのだと考えられます。ゴールドコーストの人口は現在約75万人と推定されており、2040年には100万人を超えると見込まれています。このように人口が急増化しているゴールドコーストでは、交通の整備も急がないと大変なことになりそうです。例えばバスの本数や路線を増やしたり、道路をもっと整備したりすることが、より現実的で大事な課題になりそうだなと感じます。
便利になった部分もあれば、不便さもあるのがゴールドコーストの日常。私も住んでみて感じることは多いですが、これからの交通の変化もまたご紹介していきたいと思います。

Photo1: トラムのレールの敷設工事の様子
