• 2018.05.31
  • 恐竜フィーバー
ポルトガルは今、密かに恐竜ブームです。
男の子で嫌いな子はいないと言うほど、恐竜は大人気です。
うちも息子が大ファンで、おかげで爬虫類が大好きな子になりました。そう、トカゲなどは、未だに存在する小さな恐竜だと信じていたのです。
日本の子のように、恐竜の名前をいくつも言えるタイプではありませんが、自分の気に入った恐竜の特徴を知りたがったり、絵を描かせれば、決まって恐竜でした。


リスボンでは、今年の初めまで、世界各所を巡回している恐竜博覧会が臨時開設されてました。実物大の動く模型が設置してあり、恐竜の生活の様子を見ることができます。アイディアは素晴らしいのですが、質感と動きが安っぽく、迫力には欠けるため、残念ながら子供達もスルー。むしろ特別展示室の全身骨格レプリカの方が、今にも上から襲われそうで、興奮しました。また、この博覧会の一番の目玉であるセクションでは、人が入った恐竜の人形が会場を動き回り、子供達と触れ合うのですが、それはもう子供達に大盛況でした。思いっきり足が見えている恐竜には、気にもせず、まるでペットを可愛がるように撫で回していました。


4月には、ディノパークという大きなテーマパークがオープンしました。巨大な公園の中に恐竜のレプリカが点在するそうです。それに合わせて、恐竜カードをプレゼントしてくれる、スーパーマーケットのタイアップキャンペーンも実施されました。我が子のためにと、そのスーパーで買い物をする人が増え、この期間だけでも相当な売り上げだったのではないでしょうか?
このカード非常に良くできていて、様々な恐竜のノウハウが記載されており、タブレットなどでインタラクティブに利用できるのです。


4月半ばには、ロリニャォン博物館へ行って来ました。ここは、昔は恐竜博物館でした。ですが、骨格レプリカのほとんどがディノパークへ移されてしまい、現在は、恐竜の足跡が残った岩、恐竜の爪や歯などの展示、また発掘された化石等の整理作業施設があります。
ここの博物館のオーナー、オクタビオは、今でもここでリサーチ・研究を続ける、ポルトガルの古生物学者です。
この地ロリニャォンは、古代生物の化石に恵まれた土地で、オクタビオのチームによる発掘調査によっていくつもの恐竜の化石が発掘されています。もともと地形の変化によって窪地になったところに、恐竜などの生物が川によって流され、それを覆い被せるように何万年もの間、ちりや土に埋もれ、恐竜の化石の宝庫となる地層が出来上がったみたいです。
ここで発見された代表となるものは、トルヴォサウルスと、この土地の名前がつけられた、ロリニャノサウルス。いずれも肉食の獣脚類恐竜であり、トルヴォサウルスにおいては、現在までにヨーロッパで発見された肉食恐竜の中で、最大級であるらしい。


オクタビオは、アンゴラやブルガリアでも初の恐竜を発見したりと、この業界では常に雑誌のトップラインを飾るような輝かしい業績を収めています。その彼がこの世界に入るきっかけとなったのは、小学生の頃に発見した肉食恐竜の、ナイフほどの大きさのある歯でした。私の息子もその話を聞いて、自分も恐竜の歯を見つけるのが夢だと語ります。でも、見つけても自分だけのもの。それもなくならないように、ちゃんとポケットにしまっておくのだと言ったのが、私の記憶の化石となりました。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 年齢丑( うし )
  • 性別女性
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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