• 2018.08.30
  • 日本の神様と自然
一時帰国中。

日本に着いたのは、大阪北部で震度6弱の地震が発生した約2週間後。
到着後は、大雨が続き、土砂災害。台風直撃、そして記録的な猛暑と続いた。一体日本はどうしちゃったの?!

大阪北部の地震は、亡くなられた方が4人いましたが、被害は地震規模の割に小さく、「さすが日本!阪神淡路大震災の二の舞にはなるものか」と、心をなで下ろす。しかし、今度は大雨による災害の規模が拡大する一方。「良く降る雨だなぁ。」なんて軽い気持ちでニュースを見ていたのですが、車は流され、家は土砂にやられ、死者の数もみるみるうちに増えていきました。
本当に恐ろしい。

日本は、昔から自然災害の多い国で、国民も災難には比較的強い精神性があると思います。しかし、こう何度も繰り返し嫌な事が続けば、その心も凹んでしまうのではないでしょうか。

気温に関しても、毎日異常な暑い日が続き、学校行事は体育館で済まされ、水泳を含む体育は中止。夏休みに入っても、屋外で遊んでいる子供達は屋内に入るようにとアナウンスが流れます。いつもの夏のように公園の噴水で水遊びしたり、セミを捕まえたりと発散する事ができず、フラストレーションが溜まっている事でしょう。


日本人の自然観は、西洋的な「自然を克服して、人間のコントロール下に置く」という意識よりも、「自然との共存」や「感謝の念」が強くあったと思います。そもそも日本には八百万の神、水や空、草木、岩にさえも神が宿るとのアニミズム的な思想があるからです。
日本人の自然観と日本文化の関係も非常に豊かだと思います。分かりやすいのは、日本庭園ですが、夏をテーマに考えても、打ち水があったり、花火大会、金魚(鉢)、すだれ等、暑い夏を少しでも涼しい気持ちで賢く過ごす工夫があります。
さすがに市町村のアナウンスで「ピンポンパ~ン。みなさん、風鈴を鳴らしてみましょう~」なんてのんきな事は言えませんが、暑さを数字で出し、ルールばかり増えていくシステムは、どうにかならないのでしょうか?


今日、近所の本祭りに出向き、地域の重要な神輿2基が、商店街から大通りを抜け、神社に入るまでの様子を見てきました。神が宿る神輿は町中を周り福を分け、人々の自然に対する祈りを神社へ運びます。祭りは、地震、台風、津波等の自然災害を引き起こす自然の怒りを鎮める為に、昔から行われて来た伝統行事です。
神輿を担ぐ人たちの威勢の良い声が響き、一心になってリズミカルに動く彼らを見ていると、元気が出、思わず暑さも忘れるくらいでした。

隣にいた息子に神輿の話をすると、「神様はどんな形をしているの?」「あの中に入れるくらいだから、そんなに大きくないね。」と言います。私は、日本では自然のもの全てに神が宿っていると考えるので、なんだってあり得る事を自信持って伝えると、近くまで来た神輿を良く見ようと道路脇花壇に入って行きました。すると息子が「お母さん、神様を踏んでるよ・・・」と指摘。足元を見れば、すでに何本もの緑色の神様を踏み潰していたのでした。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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