いわゆるチャイナタウンとして知られながらも、近年はその枠を大きく超え、多国籍な飲食店やカフェ、ストリートフード、さらには個性的なブティックや雑貨店が混在する、独特のエネルギーを持つ街へと変化しています。
歩行者専用化された通りには常に人の流れがあり、昼夜を問わずにぎわいが絶えません。イタリア全国が宗教的な祝日で静まり返るような日でさえ、Via Sarpiだけは別世界のように人であふれています。
しかし、この通りの現在の洗練された姿だけを見ていると、少し前までの風景を忘れてしまいがちです。かつてのVia Sarpiでは、大きなビニール袋に詰められた商品を山積みにしたリヤカーのような台車を、人が押して店舗へと運び込む光景が日常的に見られました。卸売的な機能を色濃く残した、どこか雑然とした活気。それは決して美しく整えられたものではなかったものの、このエリアを象徴する風景でもありました。
現在でも時間帯によっては、その名残を感じさせる物流の動きが垣間見えますが、街全体としては、より「見せる街」へと変化しています。さらに近年は、ポケットモンスターをはじめとしたカードやフィギュアを扱う店舗も増え、ポップカルチャーの要素が加わったことで、街の表情は一層多面的なものになっています。
そうした流れの中に登場したのが、「ミニコンビニ」です。
日本のコンビニに親しみのある人にとって、「コンビニ」という言葉には、ある種の安心感が伴うのではないでしょうか。たとえばおにぎり一つとっても、整った包装、均一な品質、そして「どこで買っても同じものが手に入り、値段もわかっている」という信頼感があります。
これは単なる商品以上に、「見慣れたものがそこにある」という安心であり、言ってしまえばマクドナルドのように、世界中で同じ体験ができる感覚に近いものかもしれません。
コンビニの魅力は、まず「変わらないもの」にあるのだと思います。いつ行っても同じ品質、同じ安心感があるからこそ、人は日常的に足を運びます。その上で、期間限定や季節限定の商品は「ちょっとしたおまけ」のように機能します。つまり、慣れ親しんだものがあるからこそ、その横にある新しいものにも手を伸ばしてみようという気持ちが自然に生まれるのではないでしょうか。
今回、Via Sarpiのミニコンビニを訪れて、私はどこか物足りなさを感じました。その理由はおそらく、この「基盤」となるべき部分の日本のコンビニらしさが私には伝わってこなかったからだと思います。それよりもむしろ、Via Sarpiというエリア全体が持つ勢いに乗ろうとしている印象を受けました。
言い換えれば、イタリアにおいては、日本のコンビニが持つ「安定した日常」や「小さな驚き」という価値そのものが、強く求められていないのかもしれません。その結果として、あの少し輪郭の曖昧な「ミニコンビニ」というお店が生まれたとも考えられます。
常に変化し続け、躍動感に満ちたVia Sarpiという場所において、日本的な「日常の安心」と「小さな発見」をあえて表現する必要があるのか?
もしかすると、その答えはまだ、このエリアの中に定まっていないのかもしれません。
