• 2026.06.30
  • ブログ・リグーリア―ヴィラ・ガヴォッティを訪ねて
先日、自宅近くにあるヴィラを訪れる機会がありました。そこは地元貴族の末裔が所有する私邸で、普段は一般公開されていません。
幸いなことに、自治体とFAI(Italian Environmental Fund、イタリア環境基金)が毎年協定を結んでおり、通常は非公開となっているヴィラや建造物を特別に見学できる機会が設けられています。これらの建造物の多くは個人が所有しているか、公的機関の施設として使用されているため、普段は立ち入ることができません。
FAIはこうした施設と連携しながら、文化遺産を守り、その価値を高める活動を行っています。 FAIのボランティアの方々は、自らの時間と情熱、そして専門知識を惜しみなく捧げ、歴史や記憶を未来へとつなごうとしています。人数を限定したガイド付きツアーの企画も、その活動の一環です。
この機会に、私はアルビソーラにあるヴィラ・ガヴォッティ(Villa Gavotti)を訪れました。館内のガッレリエ・デッレ・クアットロ・スタジョーニ(Gallerie delle Quattro Stagioni、「四季の回廊」)では、印象的な装飾を歩きながら鑑賞することができます。 回廊からは、ジェノヴァ・バロック様式を象徴する彫像に囲まれた美しい庭園が見渡せます。


見学ツアーは午後に行われたため、ステンドグラス越しにほどよく光が差し込み、空間全体を美しく照らしていました。 伝承によれば、ここはジュリアーノ・デッラ・ローヴェレの生誕地とされています。16世紀初頭に教皇ユリウス2世となった人物で、ミケランジェロの庇護者としても知られています。 古文書には、このヴィラが古くからデッラ・ローヴェレ家の所有であったことが記されています。18世紀になると改築が行われ、現在もイタリアに残る最も独創的なロココ建築の一つへと姿を変えました。
このヴィラは、アルビッソラ一帯の広大な土地を統一された景観へと作り変えるという、壮大な計画の一部として整備されたものです。農業、芸術、建築を、啓蒙時代の美意識に合わせて革新的に再構成しようとしたのです。
ヴィラの周囲には、アルビッソラ平野へ流れ込む二つの川の氾濫源であった湿地帯が広がっていました。そこで、水を集めて生活用水として利用するための水路が掘られました。 この工事は、かつて耕作されていた土地を再生し、新たな農地を確保するとともに、新しい作物の栽培を始めるために行われました。
道路沿いの家屋や壁は黄色がかったオレンジ色の漆喰で仕上げられ、建築装飾やフレスコ画によって彩られました。


交差点に面した正面入口には花器や門が配され、ひときわ華やかな印象を放っていました。
FAIのガイドによると、この土地の干拓と景観の整備は、デッラ・ローヴェレ家とガヴォッティ家が共同で依頼したもので、18世紀後半から19世紀を通じて続けられたそうです。
この計画を始めたのは、デッラ・ローヴェレ家最後の継承者であるフランチェスコ・マリア・デッラ・ローヴェレだと考えられており、現在のヴィラ建設を後援し、その実現に大きく貢献した人物として知られているそうです。
ヴィラは15世紀の建物を基礎として建てられていて、見学中には塔の基部や床など、当時の建物の痕跡を見ることができます。


テラスからは、二つの階段が下の庭園へと続いています。
外壁は温かみのある明るい黄橙色に塗装され、大きな窓の周囲には鮮やかなフレスコ画や花、そしてだまし絵の装飾が施されています。
庭園には、大理石の噴水に配された人魚やイルカの彫像、そして大きなテラコッタの壺が飾られています。 彫像に使われている大理石は近隣のトスカーナ州カッラーラ産で、イタリアでも最高級とされています。 また、洞窟や鍾乳石に使われている石材は、内陸部の自然洞窟から採取されたものです。当時は、近くの洞窟から許可なく石を持ち出すことが認められていた時代だったのです。
先ほど触れたように、館内には四季をテーマにした四つの広間があります。
「春の広間」は、白い壁と窓が印象的。他の部屋には、想像力豊かに形作られた花器が配されています。「夏の広間」では、小麦を収穫するケルビム(智天使)たちの姿が額縁の上に描かれています。アーチ型の天井には果実をたわわに実らせた木々が空へ向かって伸びる様子が高浮き彫りで描かれ、空を神話上の鳥たちが飛び交っています。「秋の広間」では、展示の上に置かれた花瓶や籠からブドウの実をつけた蔓が伸び、天井や窓へと広がっています。鏡が空間の奥行きをさらに広げ、天井から吊るされた燭台の光を受けてきらめいています。
このヴィラは訪れる価値のある、まさに建築芸術の傑作です。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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