• 2021.01.15
  • ふれあい天文学
コロナ禍で見えてきた学校現場の課題とは、ICT環境の整備。
COVID-19以前は、学校は、子供と先生が毎日通うとこ、という前提でしか教育が機能しないようになっていた。それが、ロックダウンになった時の、各校のICT教育環境の差は、教育格差にも繋がっているとも指摘された。
ポルトガルでは、「学びを止めない」方法としていち早く、国営テレビと連携したオンライン授業が国をあげて実現した。もちろん、多少の地域差はあっただろうが、先生方へのITサポート対応も準備されてたらしい。

コロナ禍によって、学びの場で特に大きく変わったことがある。
それは、オンラインでの授業、遠隔での講義・講演をどこにいても受けられるようになったこと。強いて言えば、国をまたいで、他国の有名な先生の話を聞くことも容易になったのだ。

この状況をチャンスだと思い、リスボン補習授業校の生徒の為に、「ふれあい天文学」に応募してみた。
「ふれあい天文学」は、国立天文台の天文学者が、全国各地の小中学校を訪れ、自ら天文学の授業を行うという企画である。
ネットさえ繋がっていれば、日本からの授業を受けることは問題ないはず。しかし、条件に合わない点が多くあり、期待は低かったのだが、なんとリスボン補習授業校は当選した! 寛容にも我々の無理強いに柔軟に対応してくださり、その上時差があるにも関わらず、補習校の授業が終わるタイミングでの講演を快く引き受けてくだったのです。それだけでも非常に嬉しい報せだが、我々に授業をしてくださることになったのは、本間希樹(ほんま まれき)先生と知り、嬉しさは何倍にも膨れ上がった。
本間希樹氏は、去年、ブラックホールの撮影に初めて成功した、国際プロジェクトの日本チーム代表である。
補習校の生徒や講師の中には、事前にネット配信動画などで本間氏が支えるプロジェクトを観賞したりして、講演日に備えた。

いよいよ待ちに待った、本間先生によるブラックホールについての授業日。始まる前に、本間先生の奥様が挨拶すると言う。ひょっこり画面に現れた品の良い奥様は話し始めた。
「リスボン補習授業校の皆さん、こんばんは。私は○年前にリスボン補習校に数年間通っていました~。これからもみんな勉強頑張ってくださいね~。」
みんな驚きである。一番びっくりは、この私。なぜなら○年前のリスボン補習校には私もいたからだ。そう私と彼女は一緒に補習校に通った仲。それ以外でも週末、クリスマスと一緒に遊んだ仲だったのだ。
そう言えば、母から彼女の話をよく聞いていて、ご主人が天文学関係という話も聞いていたのだが、まさかこのような再会になるとは、夢にもなかったのはいうまでもない。

ちなみに、本間先生の授業は宇宙トラベルのような感じで、壮大な宇宙をイメージしやすくしてくれるものであった。生徒全員、低学年の生徒たちも真剣に、最後まで飽きずに本間先生の話に聞き入っていた。こんな有名な先生の授業を受けられたのは、生徒たちにとって非常に貴重な体験になったと思う。それも、本間先生がいる場所から遠いポルトガルで実現できたのは、ある意味コロナ禍感謝だ。

「ふれあい天文学」は、毎日のCOVID-19生活で疲れきった精神に潤いを与えてくれる会になった。
そして、天文学以外でのふれあいで、心温まる、充実した会にもなった。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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