年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2024.06.20
  • フンシャルのフラワーフェスティバル

町の各所に、花のカーペットが設置される。

ポルトガルには、マデイラ諸島という自然に恵まれた美しい島がある。
火山群島で、住民が住むマデイラ島、無人であるデゼルタス島、黄色い砂浜とエメラルドグリーンの海が有名なポルト・サント島、セルヴァージェンス島の4つの島々からなり、マデイラ島のフンシャルが首都だ。リスボンからだと飛行機で約3時間半弱の距離にあり、カナリア諸島やモロッコに比較的近い。
年間平均気温が20℃前後という亜熱帯気候で、島の名前でもある木(マデイラ:ポルトガル語)に覆われ、島中にバナナの木が見られ、カラフルな花やフルーツが育ち、またユネスコ世界遺産でもあるラウリシルヴァ(照葉樹林)が存在という特徴が揃った、豊かな自然に溢れた島である。

ポルトガル代表のサッカー選手、クリスティアーノ・ロナウドが生まれた土地と説明した方が分かりやすいだろうか。実際、マデイラ諸島は、クリスティアーノ・ロナウドの出身地として一気に世界的に有名な島になった背景がある。
マデイラ島のかつてサンタ・カタリーナ空港と呼ばれた国際空港は、なんと彼の名前にちなんでクリスティアーノ・ロナウド・マデイラ国際空港と改称された。(だが、フンシャルにあることから、今も昔もフンシャル空港と呼ばれることが多い。)

フンシャル空港はちっぽけな空港なのだが、ヨーロッパ各地からの観光客が非常に多いことから、ヨーロッパの主要都市と直行便で結ばれている。温暖な気候のリゾートアイランドを求めてヨーロピアンは集まるのだが、マデイラ島の良さは、イビサ島やニースといったリゾート商業的な部分が色濃くない。勿論、外国人しかいないような地区も存在するが、古い建築物や路地をそのまま残していて、リゾート地域にありがちなプラスチック感が少ないと思う。緑も多い分、素朴な雰囲気が漂い、数日間滞在するだけで、まるでそこに長い間住んでいたような感覚を覚える。私はこの島のノスタルジックな風に当たりながら、ビールを飲むのが大好きだ。



別名「花の島」と呼ばれるマデイラ諸島では、花咲く季節の訪れを祝うFesta da Flor(フェスタ・ダ・フロール=花まつり)という一大イベントが毎年行われる。この祭りは、5月の初めから約1ヶ月間かけて開催され、フンシャルの街は南国の花の色と香りに包まれます。期間中は、フラワーパレードやガーデニングワークショップ、フラワーアレンジメントの展示会、さまざまなダンスや歌のエンターテイメントなど多彩なイベントが開催されます。


私は、このマデイラを代表する祭りの一番のハイライトでもあるCortejo da Festa da Flor(コルテージョ・ダ・フェスタ・ダ・フロール=花のパレード)を見に行きました。
有名な祭りだけあって物凄い人混みで、マデイラ島がフンシャル側に傾いているのではと思うほどでした。その厚い人の層をどうにかかき分けて観覧席の方に向かい、麦わら帽子をもらって席につきます。(後にこの麦わら帽子のありがたみを見に染みて感じるのですが、)いろんな熱気の中を島原産の花をあしらった山車と、色とりどりの衣装をまとった少女やレディーたちが練り歩くのです。
今年は、14グループ、計1800人の参加者がいたらしいのですが、どのグループもテーマに沿って個性あふれる衣装でダンスパフォーマンスを披露してくれました。何千もの花々がアレンジされた山車、その周りをエレガントなドレスを身につけ踊る参加者たちが、あたりの空気を花の香りで満たします。少女たちは、みんな妖精のようで、その顔つきはキュートで誇り高く、プリンセスオーラ満載でした。
全てが本当に綺麗で、まるで生きた芸術品を見ているかのようです。忙しい中での滞在だったので、満喫しきれなかったのが残念ですが、少しでも魔法の時間を体験できたことに感謝です!



人気のある式典の一つ、Muro de Esperaça(ムーロ・デ・エスペランサ=希望の壁)。子供たちによる、平和の証。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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