• 2024.09.17
  • 夏祭りとカタツムリ
私が住むMonte Bom村祭りは、8月15日。この日は、Assunção da Nossa Senhora(聖母被昇天)で、ポルトガルでは祝日です。ただ、ややこしいが、Monte Bom の守護聖人はNossa Senhora da Conceição (日本語では、無原罪の御宿り)だが、この日に祝っている。


本当に地味な、ちっぽけな村祭りだが、とりあえず、毎年行っている。そして、ここ数年は、我々の仲間も一緒に参加するようになった。
参加と言っても、もっぱら夜になってから繰り出し、バーカウンターでポルトガルのソウルフードに値する煮豚のサンド、ビファーナをかじり、ひたすらビールを飲むという始末。要は、祭りというのを口実に、みんなで酔いに行ってるようなもの。
1杯、1,30€のビールを10杯頼むと10,50€にしてくれる。「ビール10杯」と頼むのではなく、「メートル」という注文の仕方をするのだが、それを頼むと1メートルほどの細長い木のブロックに、ビールコップが10個収まる状態で出してくれる。そのメートルを何度も頼み、ステージで歌うバンドをなんとなく聞き、その前で踊る老夫婦を流し見しながら、冷えたビールを流し込む。


ここまで話してご理解いただけたと思うが、大量のビールを飲む以外、なんも特別なことはない。それではなぜ、毎年行くかというと、子供たちをほったらかしにできるからである。子供たちが遊べるようなトランポリンのようなものはもちろんだが、くじ引きや、ボールで缶を落とす出店があり、小銭を手に子供たちだけで遊びまくる。混雑しているわけでもないし、なんなら出店をやってるのも子供だったりして、こんなにも平和なのは、村社会の醍醐味だと思う。
祭りの後は、子供たちがくじ引きなどのゲームで当てた景品の数々が、不用品として家に残るのが難ではあるが、今年は景品グッズが集まらなかったのか、ワインボトルや、多肉植物の植木など、嬉しいものが多かった。

あと、夏といえば、カタツムリ。ポルトガルの夏の名物である。祭りで食べたのは、調理した人が上手でなかったのか、しょっぱい上に、カタツムリが殻に引っ込んでしまっているのが多かった(カタツムリが殻から出るように、ぬるま湯で調理する必要がある)。
そういえば、ポルトガル衛生局が、北の方で生きたカタツムリ6トンを押収したというニュースがあった。食品として安全であることを保証するラベルのないカタツムリが、第三国から入ってきていたらしい。


最後に、我が村祭りで代表的ゲーム、O Jogo dos Pregos(釘ゲーム)をご紹介しよう。
大きな木株に、参加者分の釘を少しだけ打ち込み、立つようにしておく。参加者は、自分の釘を金槌で1度だけ叩き、金槌を次の参加者に回す。それを全員順番に行っていき、最初に釘を完全に木株に打ち込めた人が勝ち。意外に釘が木に入らなかったり、釘の頭をミスったり、また男性たちが自らのマチズモを競い合う感じも愉快である。いつか息子が父親よりも先に釘を打ち込めるのではないか、その日が楽しみだ。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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