• 2016.12.26
  • スコットランドの伝統料理
スコットランドの人々は皆、ここが独立国だと思いたがっていますが、 スコットランドはイギリスの一部です。スコットランドは、エジンバラとグラスゴーという2つの活気溢れる世界都市をもつ、現代的で国際的な地域です。スコットランドのレストランでは、世界各国の料理を味わうことができます。インド料理は特に人気があり、最近のスコットランドでは伝統的なスコットランド料理よりも、むしろパスタやカレーを食卓に出す家庭が多いようです。スコッチウイスキーは国の特産品ですが、パブで人気を博している輸入ビールほどポピュラーではありません。 最近はこのような変化が起きているものの、その特色ある伝統料理に言及せずに、スコットランドを語ることはできません。
もちろん、最も代表的な料理はかの有名なハギスです。その名前からはどんなものか想像がつきませんが、おいしそうな感じがするでしょう? でも、それが何でできているかわかったら、食欲がなくなってしまうかもしれません。ハギスとは、羊の臓物を羊の胃袋に詰めて煮込んだ伝統料理です。ハギスのレシピはたくさんあり、鹿肉を使うものもありますが、ふつうは子羊か羊の内臓(肺、肝臓、心臓)に刻み玉ねぎとオートミール、ハーブ、スパイスを混ぜて作ります。これらの材料をすべて混ぜ合わせ、お好みの動物の胃袋で作った「袋」に詰め、オーブンで数時間調理すれば出来上がりです。
これは昔、貧しい農民が動物のすべての部位をくまなく利用していた時代に起源を持つ料理で、そのモットーは「すべて利用しよう! 捨てるものなど何もない!」というものでした。 かなり強烈で個性的な味の料理で、大抵、マッシュポテトとビーフ・グレービーソースが添えられます。味はとても独特なので、味わったことがない人にうまく説明できません。だから、思い切ってトライしてみてください!
ハギスは、スコットランドの詩人であるロバート・バーンズの誕生日を祝う、1月25日のバーンズ・ナイトに食べる習慣があります。同詩人が生きていた時代、残り物で作るため安上がりでしかも栄養価が高かったことから、貧しい人々はよくハギスを食べていました。 今日ではハギスを作る家庭はそう多くありません。その理由は、スコットランドのスーパーならどこでも手頃な値段で簡単に購入できるからで、海外でも簡単に入手できます。また、ハギスには缶入りのものもあり、電子レンジやオーブンで温めるだけですぐ食べられるので、調理の難しいハギスは今やファストフード感覚になっています。
かつては、このハギスはウイスキーのショットを飲みながら食べるのが伝統だと言われていました(たぶん、初めて食べる人を勇気づけるためかもしれません!)。

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もうひとつのスコットランド伝統料理は、ブラックプディング、別名ブラッドソーセージで、オートミールやスエットという脂肪、玉ねぎ、羊または豚の血でできています。これは普通フライパンで焼いて、目玉焼きと焼きトマトを添えて出します。たぶん、最も濃厚で食欲をそそる朝食メニューのひとつでしょう(スコットランドの冬、寒い外に出かけて行く前に最適です)。 スコティッシュ・パイも、スコットランドの夕食によく登場します。地元では単にパイと呼ばれ、牛ひき肉やトーストしたパンが中に詰った小さな塩味のパイで、クラストには大抵バターやラードが使われています。

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スコットランド料理は、昔は湖や周辺の海で獲れる魚をベースにしたものでした。
エジンバラ周辺でよく見られるスコットランド伝統料理のひとつにいわゆる鱈があり、大抵フライにして、イギリスの伝統料理であるフィッシュ&チップスのようにフライドポテトを添えます。
北欧の国々では魚の燻製が食卓に上ることが多く、スコットランドもまたこの習慣に影響を受けています。魚の燻製などの長期保存食は、長く寒い冬を通して保存するために作られ、昔からスコットランド料理のひとつとされています。スモークした魚は鮮魚に比べて長期保存が利き、スモークサーモンとスモーク鱈はスコットランドの食卓に欠かせないものとなっています。 また、この地域の特産物であるシーフードを使ったスープも、とても典型的なスコットランド料理です。例えば、ジャガイモと玉ねぎ、魚の燻製を使ったカレンスキンクと呼ばれるスープがそのひとつです。他にも、子羊と野菜の入った地元でスコッチブロスと呼ばれるスープも、人気のスープです。

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もちろん、スイーツを語らずしてスコットランド料理談を終わらせるわけにはいきません。 スコットランドには伝統的な美味しいデザートがいくつもあるので、甘党の人にはうってつけの場所でしょう。まずはなんといっても、ナッツやドライフルーツの入ったダンディーケーキで、大抵チーズと一緒にいただき、紅茶ももちろん欠かせません。 クラナチャンという甘いフレッシュデザートも有名です。夏によく作られ、ラズベリーやオートミール、ウイスキー、ホイップクリームが入っています。 どうぞ召し上がれ!

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特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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