スコットランド一の定番グッズと言えばキルトです。間違えて男性用スカートと呼んでしまう人もいますけどね。スコティッシュ・キルトはタータン・チェックの毛織物で作られていて、ハイランド(スコットランド北部の高地)の男性がまとう特徴的な衣装であるため、ここの伝統的シンボルとなっています。この独特な衣装の歴史は非常に興味深いもので、きっと皆さんが思っているほど古いものではありません。現在知られているキルトの発祥は中世のスコットランドで、1700年にイギリス人の実業家、サー・トマス・ローリンソンが考案したという説が有力です。この話には諸説ありますが、1768年にサー・アイヴァン・ベイリーが書き、のちに『エディンバラ・マガジン』に掲載された手紙によると、現在のキルトが考案されたのはサー・ローリンソンがハイランドへ越してきたときということです。彼はその土地の文化を学び、インヴァネス近くの窯で働く木こりの集団を観察した結果、彼らの作業着をシンプルにするというアイデアを思いつきました。作業着のかさばりを減らし、動きやすくするというのが基本的な考えだったのです。スコットランドの下層階級の人々は、すでに何世紀も前から、体にフィットしたタータンのコートを、ウエストにベルトを巻いてロングスカートのようにして着用していましたが、サー・ローリンソンはデザイナーのごとくその場で、コートの上半身部分を切り離してスカート丈を短くしたのです。新しく考案された「男性用スカート」はとても実用的だったので、この衣装の下層階級への普及は、当時のロマンチックなイメージと相まって、想像以上の歴史的・国家的価値を持つものとなりました。ところが、1746年に服装令が制定され、伝統的なスコティッシュ・キルトやその他の服飾品の着用が法律で禁止されるようになりました。キルトの伝統が滅びずにすんだのは、英国軍に属するスコットランド高地連隊がキルトを軍服に採用したおかげです。1782年に服装令が廃止されると、かの有名なサー・ウィリアム・ウィルソンが、タータンという遺産の大部分を復活させ、それを分類し、今に続く伝統の継承を確かなものとしました。現在のスコットランドでは、キルトはパレードや国家的行事の際の正装であるとともに、結婚式や大事な集まりで男性が着る伝統衣装ともなっています。キルトには主に2種類あって、現代的なキルトは化学染料を使用しているため発色は暗めです。一方、伝統的なキルトは昔ながらの染料を使用しているため、繊細でやや明るめの発色で値段も高くなります。
エディンバラで質のいい伝統的なキルトを買うなら、主にロイヤルマイル沿いに点在する伝統的な店を訪れるといいでしょう。ロイヤルマイルは街のメインストリートで、タータン生地やキルト、高級カシミヤ服、陶器、スコットランドの食べ物など、定番ものを買うのにぴったりな場所です。エディンバラ最古の地区である旧市街の通りを歩いて行くと、このような店がたくさんあり、また工芸品店などもあります。カラフルな陶器から保温性の高いハイランド産の羊毛でできた服まで、品質はどれも折り紙付きです。伝統的なガラス製品も美しく、彫刻を施してから膨らませて作るクリスタルガラスや手彫りのペーパーウェイトなどもあります。エディンバラのショップには、地元産の貴石を埋め込んだ高品質な定番のスコティッシュ・ジュエリーもあります。エディンバラで何を買うか迷っている人には、街にあるデパートに行ってみるという選択肢もあります。一番有名なのはジェナーズで、その歴史は19世紀末に遡ります。ここにはいろいろなものが少しずつ取り揃えてあります。食べ物では、スコットランドはスモークサーモンや最高級ウイスキー(前回のブログでご紹介しました)、ショートブレッドの本場です。ショートブレッドは、高級バターを使用した風味豊かなビスケットで、高カロリーですが本当においしいですよ!