「天気が気にくわなければ5分待て」というのはスコットランド人がよく口にする地元の教訓で、この国の気候を実にうまく説明しています。
というのも、イギリスの一部でおおむね北欧に属しているスコットランドは天気が一番の弱点なのです。美しく晴れ渡った日でも、ものの数分でにわか雨が降ることもあるので予測は困難です。もうひとつ地元でよく言われているのが、スコットランドでは四季を1日で体験できるというものです。まったくそのとおりであることを私は身をもって体験しました。昨年の5月、アバディーンで市内観光ツアーに参加したのですが、市内では雨だったのに、市外に出た途端なんと雪が降り出し(5月なのに!)、数時間後に太陽が照りつけたと思ったら直後に霧が出て、再びどしゃぶりの雨が降り出しました。気象条件によって気分が左右されるタイプの人(雨だと悲しくなるなど)は、スコットランドに来る前に心の準備をしておいてくださいね!
雲に覆われた典型的なスコットランドの空模様
スコットランドの夏はたいてい温暖で、7~8月には気温が20℃を超すこともありますが(本当にラッキーな場合にはですけどね!)、ここでいう温暖は必ずしも晴天とイコールではありません。太陽は毎日顔を出すわけではありませんが、夏の3カ月間は天気のいい日に恵まれるチャンスが増大します。スコットランドの景色は夏が最高で、緑の牧草地と青い空、満開の花々を楽しむことができます。国内に観光客があふれるのも当然この季節で、特に8月はヨーロッパ全土および世界中の観光客が数少ない晴れの日を狙ってやって来ます。でも、個人的には春もスコットランドを訪れるにはいい季節だと思っています。花が咲き始め、季節を先取りした色合いが乾燥した冬の植物によく映えますし、何よりも観光客がまだほとんどいないので落ち着いて静けさを満喫できますからね!5月は統計的にも降雨量が最も少ない月なので絶好の時期だと思います。
スコットランドにだって快晴の日はもちろんあります!
では秋はどうなのかというと、金色の日差しと温かみのある紅葉は正に絵画そのものです!そして、冬のスコットランドは寒いです。特徴としてよく挙げられる、厄介な凍りつくような風がこの時期にはよく吹きます。一般的に1~2月が寒さのピークで気温は5℃前後です。積雪は山頂部で最も多く観測され、晩春になっても雪で覆われています。夏と冬とでは気象条件だけでなく日照時間も異なってきます。夏の日照時間はだいたい16時間ほどで、朝の5時までには日が昇り、夜10時頃に日が沈みます。一方、冬の日照時間はがくんと減って、1日8時間程度です。しかし、暗い冬の夜にもいいことはあります。スコットランドの最北部では、かの有名なオーロラが見えることもあるのです!
午後10時の冬の夕暮れ時
スコットランドの気候は地域間でも大きく異なります。一般的に西岸部や島は雨や風が、東部は乾燥した晴天が多いとされていますが、ほんの数km移動しただけでも気象条件はまったく変わってしまうこともあります!天気に恵まれることは少ないものの、スコットランドでは雨の日も魅力にあふれています。にわか雨直後の自然の色彩はまた格別です!さて、これらのことを総合するとスコットランドは一体いつ訪れるのがベストなのでしょうか?スコットランドを初めて訪問するなら5~9月をお勧めします。冬はかなり陰気な感じなので、本当のスコットランドを知ってもらうには国内にもっと長く滞在してもらう必要があると思います。
雨天でも晴天でも魅力的なスコットランド