こちらカナダは、新型コロナワクチンの接種キャンペーンの真っただ中です。
新規感染者数の抑え込みには成功しているものの、ワクチン供給では大きな遅れが生じていると耳にしますし、数カ月前の12月に接種が開始した時に首相が約束したようにはうまく事が運んでいません。
以前にもブログで書きましたが、カナダは世界で最も早く国民への予防接種を開始した国のひとつなのですが、全ての人に2回目の接種を行うために必要なワクチンが足りないようなのです。
カナダでのワクチン接種キャンペーン(現在、ファイザー・BioNTech社製とモデルナ社製のワクチンが使用されています)は昨年12月20日に始まりましたが、現在までの接種者数は満足のいくものではありません。
2021年3月半ば時点で、250万人のカナダ国民が1回目のワクチンを接種しました(一方、2回目の接種を受けたのはたったの50万人です)。
ジャスティン・トルドー首相は、3月末までにさらに600万回分のワクチンがカナダに到着し、9月末までに接種を希望する全てのカナダ国民が予防接種を受けられる、と繰り返し伝えています。
こうした約束や公約によっても国民は安心していません。というのも、カナダはモデルナ社と契約を結んだ最初の国で、ファイザー社との契約は4か国目だったにも関わらず契約書には納品期限などが明記されていなかったため、残念なことに国民の不安を煽ることとなりました。製薬会社は契約の機密保持を理由に、週単位ではなく四半期単位での配送を約束している、と述べるにとどまっています。
正直なところ、ワクチンを接種した人の数についていえば、他の国と比べてカナダが良い状況にあるとは言えません。
カナダのワクチン接種完了者は人口の7%で、これはイタリアと同じレベルです。(イタリアという国は、何か重要なことを遂行する時にお手本となる国ではありません。人生のほとんどをイタリアで暮らしてきたイタリア人の私が保証しますよ。)一方、イスラエルは97%、イギリスは37%、アメリカでは29%となっています。
現在カナダでは予防措置・勧告として外出禁止令が出されており、自宅でパーティーを開いたり、自宅に人を招いたりしている隣人を通報するためのフリーダイヤルまで存在します。(隣近所を見張るなんて、まるで独裁政権下みたいで嫌なものです。)この厳しいルールに従わなかった住民には最高2,000ドルの罰金が科せられます。
ほとんどのカナダ人はきちんと規律を守っているので何の問題もなく外出が可能です。営業しているレストランもありますが、夜10時以降のアルコール提供は不可で、ほとんどの店が午後10時半頃に閉店となります。店では1テーブル6名まで認められているのに、家に人を招くのは禁止とは、あまり筋が通っていないように思えます。レストランのオーナーたちは店を閉めなくてはならなくなって職を失ってしまうかも、という恐怖に怯えており、州議会が定めたルールを結束して守っています。しかしながら政府は一般家庭では何が起こるかわからないため、この禁令が発令されたというわけなのです。それ以外に関しても、商業活動の存続と新型コロナウイルス予防策が確保できるのであればやるべきでしょう。
個人的には、この禁令は個人の自由を制限し過ぎているように思います。
しかし、予防接種キャンペーンの運営の方がより難航しているようです。昨年12月半ばに他諸国に先駆けて開始しましたが、今では遅れが生じ、ワクチンの在庫も不足しています。
イギリスと同じく、カナダは医療従事者へのワクチン接種をどこよりも早く開始しました。ところが、接種数はそう多くはありません。まず集中治療室で働く医療スタッフへ、次に緊急治療室の医師と介護サービス従事者への接種が行われましたが、その後の方向性を見失っているようで、キャンペーンは統率が取れていません。
高齢者や新型コロナウイルスに感染した場合にリスクが高い人への予防接種が始まっていますが、今のところ隣国・アメリカと比べると大きく後れを取っているようです。
とは言え、ワクチンの供給が全体には行き渡っていないとしても、悪くないスタートを切れたといえるでしょう。しかし、今後はカナダ人の社会通念の高さとこの国の人口密度の低さという利点も活用する必要があるでしょう。
- 2021.04.12
- 予防接種キャンペーン、その後