私はアメリカで3回だけ結婚式に出席したことがあるのですが、結婚式をテーマにしたアメリカのコメディ映画を長年観てきたからか、もっとたくさんの挙式に参列してきたように感じています。
アメリカでの結婚式の習慣の一部は、最近ではイタリアでも取り入れられるようになりました。こうしたアメリカ発祥の伝統は、もちろんここテキサスでも欠かせない存在となっています。
例えば、以下のような習慣があります。
ブライズメイド
花嫁の付添人を務める「ブライズメイド(bridesmaid)」は言うまでもなくいかにもアメリカ的な風習です。どのウェディングパーティーにもお揃いの色のドレスを着たブライズメイドたちが必ず登場します。ドレスの色は、結婚式のテーマに合わせて花嫁が選びます。
調べてみると、驚いたことにこの風習は古代ローマ時代にまで遡るのだそうです。当時、花嫁を連れ去ろうとする悪霊を混乱させるために花嫁と同じ白いドレスを着た女性たちが花嫁を先導したとのことです。
イタリアではこの風習が徐々に消え去り、アメリカで自国の文化として新たな命が吹き込まれたということなのでしょう。古代ローマ時代のように花嫁と同じ白いドレスを着ることはなくなりましたが、ブライズメイドのドレスには花嫁のウエディングドレスを彷彿とさせるディテールが施されています。これは、新婦と親友たちの衣装をマッチさせて、お互いの一体感を示すためのものです。
ブライズメイドの中で最も重要な役割を果たすのが「メイド・オブ・オナー(maid of honor)」で、花嫁と特に関係が深い人物がこの役に就き、書類にサインをしたり花嫁をサポートしたりします。
ウェディング・プランナー
アメリカでは、ウェディング・プランナーに結婚式の計画を依頼するのが一般的です。世界屈指のストレスレベルを誇るこの国で、結婚式の専門職が誕生したのも不思議ではありません。アメリカでは誰もが朝から晩まで慌ただしく過ごし、自分自身や結婚式の準備のために使える時間はほんの少ししかありませんからね。
たいていの場合、アメリカ人は物事をスムーズに進めることを好むし、細かいことにこだわります。そのため、形式に則りながらもオリジナリティーを保ち、同時に結婚式の準備による過剰なストレスを回避するために、式次第だけでなく予算まで、厳しく有能なプロの目線で企画・管理できる専門家に依頼したいと考えるのでしょう。
様々な結婚式会場
アメリカでは、結婚式はイマジネーションの赴くままにどこでも執り行うことができ、実際に色々な場所で開催されています。
美しい景色に囲まれた、フラワーアーチのある広大な庭の芝生にきちんと椅子を並べて行うこともあれば、森の中や海のすぐ側で開かれることもあります。
アメリカ人は、新郎新婦の愛の物語にちなんだ風景や誓いの言葉、ディテールを盛り込んで結婚式を自分好みにアレンジするのが大好きなのです。
アメリカ人の多くはプロテスタントですから、牧師や結婚を認める資格を持つ司式者は教会外の場所でも儀式を執り行えるため、どこでも好きな場所で結婚式を開くことができます。カトリック教徒の場合、結婚式は教会で行う必要があるのでそうはいきません。
ウェディング・レジストリ
ウェディング・レジストリ(wedding registry)とは、花嫁と花婿が大事な晴れの日までに共同でまとめておく贈り物のウィッシュリスト(訳註:新郎新婦が欲しいものをリストアップし、結婚式の参列者や友人などがそのリストの中からプレゼントを選んで贈るというもの)です。
プレゼントが重複するのを避け、本当に必要な喜ばれるものを贈ることができます。さらに、贈り主は何にどれくらいの金額が必要かを明確に知った上で可能な限りの予算を組めるので、贈る側にとっても受け取る側にとっても便利でありがたいシステムなのです。
今ではオンライン上にウィッシュリストを載せることができるので、遠くに住む人にはより便利ですね。
近年、アメリカのカップルは結婚前から同棲することが多いので、最も多いプレゼントのリクエストは新婚旅行なのだそうです。招待客は新郎新婦の人生でたった一度のハネムーンの旅費を援助するというわけです。
他国の結婚式の習慣にも興味をそそられます。それぞれの国の習慣はどれくらい残っていて、アメリカの習慣はどの程度取り入れられているのでしょうか。
イタリアの結婚式に関して言うと、半々といったところです。結婚式の会場となるのは伝統的な教会や市役所ですし、出される料理やパーティーでの余興などは今もイタリア式です。
一方で、現在ではウェディング・プランナーやウェディング・レジストリといったアメリカ式の新たな習慣も取り入れられるようになってきています。