• 2024.05.02
  • 強く、健康であれ
まだ書き始めたばかりですが、すでに行き詰まりそうな予感がしています。というのも、多種多様な面がある複雑なトピックについて書こうとしているからです。
私が持ち合わせている情報は、アメリカで暮らし始めてからのこの数年間に友人や知人から聞きかじったものや自分自身の体験から得たものですが、今回のブログではアメリカの医療保険制度について書いてみたいと思います。

数年前、ある人から「ある国の文明がどの程度進んでいるかは、教育・安全・医療の3つの大きな柱を見ればわかる、ということを覚えておくといいよ」と言われました。
当時まだ若く、海外で暮らした経験もあまりなかった私は、それを聞いてただうなずいただけだったのですが、その言葉はずっと心に残っています。

オースティンは、非常に安全な街です。
ですがその一方で医療はと言うと、最も注目を集め、最も不透明で、世論も私の心をも二分する問題であることは間違いありません。
確かにアメリカには世界屈指の医療機関や最先端の医療技術が揃っていますが、病院に足を踏み入れたとたんにクレジットカードと健康保険証の提示を求められる、という噂は残念ながら事実です。
また、「健康保険に入っていれば安全」という考えも定説となっています。もちろん、保険に入ってさえいれば手術費用を払うために持ち家や一方の腎臓を売る必要はありませんが、それでも自腹で多額の費用を負担せねばなりません。さらに、多くの健康保険では「ディダクティブル(deductible)」と呼ばれる自己負担分が設定されており、その金額を超えないと保険でカバーされないのです。
また、保険会社は提携医師のネットワークを持っていて、指定提携先以外の医療機関を受診する場合はかなり高額な自己負担が必要になります。
アメリカの医療制度は民間の保険会社が提供する健康保険が中心になっているのは明らかで、公的な医療保険制度はメディケア、メディケイド、CHIPの3つのみです。
メディケア(Medicare)は、連邦政府が提供する高齢者などを対象とした医療保険制度で、収入や年金プランに関わらず誰でも加入することができます。
メディケイド(Medicaid)は、州政府と連邦政府が運営する低所得者層を対象とした医療保険制度です。
そして、CHIP(Children's Health Insurance Program)は児童医療保険プログラムで、一定の収入があるためメディケイドの加入資格を得られない家庭の子どもたちの医療費をカバーする制度です。

職に就いていない人は、自分で民間の医療保険の費用を支払います。加入するには最低でも数百ドルが必要となりますが、最低限の保険の場合、ほんのわずかしか保障されません。
信頼できる情報源から聞いたところによると、オースティンには人道的な施設や医師がいくつか存在し、医療費を払えない場合(何度も医療費を請求し、患者に支払い能力がないことが証明された後)には、病院が負担してくれる場合もあるようです。
アメリカの医療サービスは、医療機関と保険会社が経済交渉という愚かなゲームを繰り広げるビジネスの場でもあります。私たち一般市民はこのゲームの行方に目を光らせ、時には外野から大声を上げる必要がありますが、基本的には毎月高額な医療保険を支払いつつ病気にならないよう祈ることしかできません。
医療制度について語るべきことの少ない母国、イタリアとはかけ離れたアメリカの健康保険制度を知った時、私は本当に驚きましたし、改善すべき点が多いとも感じます。
様々な国を訪れ各国の医療制度の限界を見てきましたが、私はイタリアも医療保険制度全体を見直すべきだと考えています。優先事項を見直し、より多くの公的資金を投入し、期待値を下げるべきです。
ですが、少なくともイタリアでは、アメリカで以前見せてもらった「緊急時に救急車を呼ばないでください」と書かれたペンダントトップが付いたネックレスを身に着けている人を見かけることはない、ということは付け加えておきましょう。悲しいことに、アメリカには救急車を呼べない人がいるのです。

(参考:下の写真は、私の彼女の救急用品です。彼女が加入している健康保険は保障が乏しいので、なるべく自分で病気やケガを治しているのです。)

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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