私の場合もそうでした。ダラスは1980年代に撮影された有名なメロドラマの舞台であるだけでなく、魅力あふれる街だということも知り、足を運んでみたいと思うようになったのです。
ダラスへは何度か仕事で行ったことがあるのですが、観光で訪れるとまた違った経験をすることができ、面白い発見がたくさんありました。
かつて、作家のジョン・スタインベックは、著書で「テキサスは心の状態を表し、強迫観念でもある。あらゆる意味において、テキサスとはひとつの国家なのだ。(Texas is a state of mind. Texas is an obsession. Above all, Texas is a nation in every sense of the word.)」と述べています。これまでブログにも書いてきましたが、生まれ育った人にとってもこの地を愛する者にとってもテキサスは非常に特別な場所です。アメリカで最も誇らしげにその独特さを表現する州なので、主要都市のひとつであるダラスは必見です。
私がこの街で最も気に入っていることのひとつが、建築物です。
ダウンダウンエリアだけでも、ダラス市庁やワン・ダラス・センター、マイヤーソン・シンフォニー・センターといった、近代建築の巨匠たちが手掛けたビルが多数建ち並んでいます。
そして、当然ながらダラスの夜景は見逃せません。夜になると、バンク・オブ・アメリカ・プラザ、マグノリア・ホテル、そしてルネッサンス・タワーやチェイス・タワーが摩天楼の主役となります。
私は地図だけを手に、特に予定を立てずにぶらぶらと歩くことにしました。唯一、事前に探して訪れることを決めていた場所があります。それは、1963年に第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された、ディーリー・プラザのほど近くにあるエルム通りで、まさに彼が撃たれた場所には道路に印がつけられています。
ダラス市内にはたくさんの美術館や博物館がありますが、ダラス美術館(Dallas Museum of Art)やクロウ・アジア美術館(Crow Museum of Asian Art)、ペロー自然科学博物館(Perot Museum of Nature and Science)などそのほとんどは、アメリカ最大の芸術地区であるダウンタウンのアーツ・ディストリクト(Dallas Arts District)にあります。どんな形態であれ芸術とは素晴らしいものですが、芸術が街の一部となると、そこは特別な場所になります。一方、デザイン・ディストリクト(Design District)にはショールームやインスタレーション、ギャラリーが集まっています。
ナッシャー彫刻センター(Nasher Sculpture Center)には、モダニズムの出現や戦後のアート、そして抽象や具象を表現するモニュメントサイズから小品に至るまで、19世紀から現代までの膨大な数のコレクションが展示されています。
ダラスのPRキャンペーンのスローガンは「どデカいことが起きる場所(Big Things Happen Here)」。市内の6カ所に巨大な「B」と「G」の文字が設置されています。その真ん中に人が立って「I」を表現すれば「BIG」という単語が出来上がるので、SNSにぴったりの最高に映える写真を撮ることができます。
私のダラスでの「どデカい」体験をひとつ選ぶとすれば、ファーマーズ・マーケットでしょうか。ダラスのファーマーズ・マーケットはきちんと整備されていて、公式サイトもあるし美味しいものがたくさん並んでいます。個人的に、地元の人が買い物に訪れるファーマーズ・マーケットは、その街で暮らす人々の暮らしを垣間見るのにうってつけの場所だと思います。
マーケットでは主にオーガニックや自家製の野菜や果物、手作りの商品が販売されているので、ダラスの名物料理や地元産の食材を安価に楽しむには最高のスポットなのです。
マーケット内にはシンプルながらも座り心地の良い椅子も用意されていて、観光の合間にひと休みして昼食を取るのにもぴったりです。
また、ダラスのダウンタウンエリアには緑地が多いことにも驚きました。テキサスの街では珍しい光景です。
この「どデカい」驚きに満ちた街をもっと楽しむべく、またダラスを訪れてみようと思っています。
ダラスの街並み