• 2016.03.01
  • ドイツのカーニバル(謝肉祭)
カーニバルと言えばブラジルのリオが有名ですが、ドイツでも「第五の季節」と呼ばれるほど重要なお祭りで、クリスマスに次ぐ冬の風物詩とも言えます。

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カーニバル(Karneval)はもともとカトリックの影響が強い地方の風習で、いまでは宗教色は薄れ、仮装パレードを楽しむ国民的行事として親しまれています。そして最も規模が大きく有名なのが、西部のラインラント地方にあるケルン、デュッセルドルフ、マインツの3都市。

他にもキリスト教色の強い南部のバイエルン地方では、カーニバルはファッシング(Fasching)、南西部のカーニバルはファスネット(Fas(t)net)と呼ばれ、木でできた仮面をつけてパレードが行われます。

カーニバルの語源は、中世ラテン語carnem(肉を) levare(取り除く)に由来し、正式には11月11日11時11分に始まります。そして、もっともハイライトになるのが、年をまたいだイースターから6週間前、大体2~3月の一週間です。というのも、カトリック教では、春のイースター(復活祭)前まで46日間の断食が行われてきました。その断食に入る前、肉に別れを告げるため一週間羽目をはずした祝祭を繰り返し、その最後に自分たちの狼藉ぶりの責任を大きな藁人形に転嫁して、それを火あぶりにして祭りは閉幕するというのが慣しのようです。

まず、ドイツ人が一番こだわるのが仮装。日本では考えられないくらい大きなカーニバル用品専門店があり、ドイツの民族衣装「Dirndl」や「Lederhose」はもちろんのこと、消防士や警官、パーティ系、ぬいぐるみ系、マスク系、ゴースト系などから今年のテーマ及び衣装を選びます。また、種類豊富な帽子やカツラなどのアイテムの中から衣装にあった小物を選ぶのも楽しみの一つです。カーニバルでは堂々となりたい自分になれるので、真面目で固そうなイメージから陽気で愉快なドイツ人に変身します!

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<カーニバルの一週間>

ドイツではこの一週間のことを「狂騒の日々」と呼びます。
第一日目の木曜日は、ラインラント地方では「バイバーファストナハト(Weiberfastnacht)」と呼ばれ、女性が市庁舎など権力の中枢へ乗り込み、主導権を握ります。なんとこの日男性は権力の象徴であるネクタイを切られてしまいます!そしてお詫びにキスをされるそうなのですが、少し過激ですね。

週末に行われる子供用仮装パレード。 ケルンでは「アラァーフ」、デュッセルドルフでは「ヘラゥ」というかけ声のもと、お菓子が沢山まかれるパレードが行われます。子供達は袋いっぱいのお菓子に大喜びです。

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第五日目 バラの月曜日(ローゼンモンターク Rosenmontag)
今年は残念ながらデュッセルドルフのパレードは強風のため3月に延期になりましたが、ケルンのパレードは幸運にも開催されました。 ケルンのパレードの長さは約7.5kmあり、12000人の参加者(90山車、82鼓笛隊、500頭の馬)が約4時間かけてケルンの市内を練り歩き、毎年100万人の観光客が訪れる大掛かりなもの。

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                      http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/

鼓笛隊のミュージックに合わせて行進しながら配られるお菓子やお花、ドイツの伝統的な衣装をまとった貴族達はとても貫禄と威厳があります。様々なモチーフを描いた大きな山車に観客達は魅了され、ローゼンモンタークはクライマックスを迎えます。

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第六日目 スミレの火曜日(Veilchendienstag)
ファストナハト(Fastnacht)では等身大の藁人形が焼かれ、カーニバルのお祭りは最終日を迎えます。

灰の水曜日(Aschermittwoch)
キリスト教では、この日からイースターまでを肉を断つ断食期間としています。しかし、信者でなくてもこの期間、アルコールやお菓子、テレビなどを断つ人も多いようです。
我慢する分、イースターへの喜びが倍増するのかもしれませんね。



特派員

  • 理夢
  • 職業いけばな活動家

ドイツ在住5年目。海外で「和の心」を忘れず、「いけばな」と「着物」を中心に日本文化活動を行う。日本の美を広めるべく、また次世代にも継承していけるよう精進して参ります。

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