日本では腸に良いとされる根野菜は良く食されます。特にごぼうはきんぴらや煮物にかかせない食材で、主にしょうゆと砂糖を使った調理法を連想します。しかし、ヨーロッパの西洋黒ごぼう(Schwarzwurzeln)は、日本のごぼうのように
クセのある香りがなく、食感も違うため、調理法が全く異なります。正式な学名は Scorzonera hispanica、英語名ではblach salsifyと呼ばれます。学名のhispanica(ヒスパニカ=スペインの)とありますように、南ヨーロッパあたりが原産です。今では、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギーでも好んで食されています。まず、周りについている土を洗い流します。ピーラーで皮をむくと、とてもアクが強く、ミルク色のベタッとした灰汁が手にこびりつきます。ですから、流水にさらしながら皮を剥きます。そして適当な大きさに切ったらすぐに酢かレモン汁を入れた水に入れて変色するのを防ぎます。
西洋黒ごぼうはクセがなく、どちらかというとホワイトアスパラのようです。さっと煮ればコリコリとした食感があり、しっかりと火を通せばほのかな甘みがあります。ドイツではバターやミルクといった乳製品と一緒に調理します。バター炒めはとてもシンプルですが、西洋黒ごぼうというとクリーム煮が一番ポピュラーです。芽キャベツやコールラビといった冬野菜と一緒にクリームで煮込んでもいいですし、スープやグラタンにしても美味しくいただけます。西洋黒ごぼうは主張しない食材なので、付け合わせに最適です。
メインディッシュにしたいときは、フライの衣をつける前の卵にマスタードを入れて、油であげるとボリュームが出てお薦めです。
シーズン最後の西洋黒ごぼうを食べつつ、春のホワイトアスパラの到来が待ち遠しい今日この頃です。