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  • 2022.03.10
  • 赤ピーマン・Pimiento Rojo
スーパーで特売中の赤ピーマンがとても綺麗だったので思わず購入しました。日本では多分パプリカと呼ばれている種類かと思われます。スペインでpaprikaと言うとハンガリー料理などによく使用される粉末状の香辛料のことでスペイン語ではピメントンpimentónと呼ばれ、スペインを代表する腸詰のチョリッソ・ソーセージの製造や多くの煮物料理に欠かせないものです。一方野菜としてのピーマンはピミエント・pimientoで、あえて外来語のパプリカとは呼びません。


写真1.一目ぼれして購入した赤ピーマン、ひとつ約250g 合計4個で1.79ユーロ(約230円)でした。

今回はオレンジやパエージャで有名なバレンシア地方の郷土料理のエスガラエッ・バレンシアノ・Esgarraet Valencianoに挑戦、と言うにはおこがましい程シンプルな一皿を作りました。赤ピーマンをオリーブ油まみれにしてオーブンで焼き、冷めたら縦に引き裂くだけのお手軽さ、そこに一日かけてほとびらかせた干鱈を同じく引き裂いて混ぜるだけです。この引き裂くという手順が料理名になりました。 esgarraet はバレンシア語で“引き裂かれた”という意味だそうです。干鱈の塩抜き具合によってお好みに塩梅します。


写真2.焼き上がったピーマンの下にはオリーブ油と混ざった甘いピーマンエキスがたっぷり出ています。このエキスにパンを浸して岩塩をパラリと振りかければ赤ワインのアテになります。

 仕上げにニンニクのみじん切り、黒オリーブ、松の実などまぶすこともありますし、バリエーションとしては干鱈の代わりに、アンチョビやらmojamaという鮪の干物を使ったりもします。ゆで卵をトッピングして色どりを添えてもいいですね。


写真3.無骨で素っ気ない盛り付けで恐縮ですが、βカロテン(カロチン)とか、オレイン酸、ポリフェノールなどありがたい成分が含まれている伝統的正統派地中海料理ですよ。

このピーマンはコロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパに持ち込んだピリ辛唐辛子の変わり果てた?お姿のようです。ピーマン、パプリカ、唐辛子、なべてナス科の唐辛子属ながら人々のあくなき欲望のおもむくままに栽培品種が増えて、元来カプサイシンを多く含む辛かったものが、辛味を抜いた品種も作られ、大きさや形状も多様化して色も赤、緑、黄色、オレンジ色、紫や、はては緑黄色野菜という誇りを捨てたかのようなホワイト・ピーマンなる品種も登場するなど世界中の人々に愛され続けている次第です。
サラダとして生で食べたり、煮たり焼いたり炒めたり、中空なのをいいことにひき肉を詰める容器がわりに使われたりもしていますね。それのみならず乾燥後粉末にして香辛料になり、発酵させてペースト状の調味料に、また近年の激辛ブームも相まって、タバスコ、辣油、コチュジャンからチリソースにまで使用されるまさに八面六臂の大活躍です。
スペインの左隣、ポルトガル料理のレシピで頻繁に登場するのが、マッサ・デ・ピメンタオMassa de pimentãoという赤ピーマンを塩蔵して発酵させたペースト状の調味料です。このペーストで豚肉をマリネしてから、揚げたジャガイモとアサリと炒めて香菜とレモンを添えた“豚とアサリのアレンテージョ風炒め・Carne de porco à alentejana”は鱈料理と並んでポルトガルを代表するお惣菜の一つでしょう。


またスペインの右隣のフランスでは国境を接するフランス・バスク地方のエスペレット村Espeletteの唐辛子が特産物として知られ、村の家々の軒下に唐辛子の束を吊るして乾燥させている風景は、日本の原風景でもある吊るし柿に似ています。このエスペレット唐辛子は粉末だけでなくペースト状にした調味料もあり新潟名産“かんずり”をおもいださせる味です。


写真4.右はポルトガル版辣油もどきの辛味油でその名も“ピリピリ・Piri Piri”、真ん中はエスペレット村の唐辛子ペースト・Pureé de piment、そして左端は同じくエスペレット村の一味唐辛子です。

特派員

  • 山田 進
  • 年齢寅( とら )
  • 性別男性
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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