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  • 2022.09.15
  • スペインで一番安い定食
 スペインにはMenú del día 今日のメニュー という日替わり定食があって、多くのレストランやバー、カフェテリアで平日のランチとして提供されます。日本で定食というと刺身や唐揚げ、豚カツ、などが味噌汁、御飯、漬物、箸休め等々と一緒にお盆に乗って一挙に登場しますが、スペインの日替わり定食は通常、前菜、メイン、とデザートが順番に運ばれてくるコース料理システムです。 最初の料理はprimer plato・1番目の皿と呼ばれ、サラダやスープ、スパゲッティやマカロニなどのパスタ類、パエージャなどの米料理から1つチョイスし、次に segundo plato・ 2番目の皿として肉や魚、煮込料理などのメインを選び、最後にデザートとしてフルーツや冷菓、ケーキなどで締めます。これにパンと飲み物がついてお値段は通常10ユーロから15ユーロ程度ですが、エクゼクティブメニューと称してビジネスランチにも使える25~30ユーロ定食まで千差万別です。
 
 日本の定食は1つのお盆に前菜からデザートまですべて載っているエコノミークラスの機内食、スペインの定食は、私はいまだに未経験ですが、1皿づつ運ばれるファーストクラスの機内食にも例えられるかな。それにしてもエコノミークラスでまだトレイに食事が残っているのにCAさんが“コーヒーかお茶はいかがですか?”とせかしてくるのは料理をつまみにただ酒でチビチビ1人宴会を楽しんでいる身としては、いつも忸怩たる思いをしております。ほっといてください!!

 スペインの定食に話を戻すと、私が初めてスペインを訪れたのはまだフランコ総統ご存命の頃、市民戦争後の新生スペインの存在感を諸外国に知らしめ、また外貨獲得の一環として1960年代半ばから始められた観光誘致政策が軌道に乗った時期でした。その中で訪れる外国人観光客にリーズナブルなお値段で安心してスペイン料理を堪能して頂けるよう、当時の当該官庁である情報観光省は飲食店に対して現在のMenú del día の原型となるツーリスト・メニューの提供を義務付けていました。それはスペイン全国、どんなカテゴリーのレストランへ入っても必ず固定価格の定食があり会計で驚かされる心配なく食事ができるシステムへと進化していきました。

 現在では義務化は無くなりましたが、この外食が気軽にできる仕掛けは旅行者のみならず広く一般に受け入れられて、家に帰って昼食をとるのが難しい勤め人や学生さんだけでなく、ご近所の常連客もつき、時間や手間の掛かる料理も気軽に食べられるようになっています。 多くの店では1番目の皿 、2番目の皿、デザートと3コース、それぞれに3~4種類の選択肢があり、店によっては曜日毎に目玉料理を設定して、例えば月曜日はもつ煮込み、木曜日はパエージャ、などと常連客がお好みの料理を心待ちにする楽しみがあります。個人的には冬になるとマドリードの名物煮込みコシードが登場する曜日をチェックして馳せ参じます。私の数少ない経験ではバルセロナに州都を置くカタルーニャ州のレストランの定食は前菜、第1の皿、第2の皿、デザートと豪華4コースメニューが定番みたいですね。

 このようにスペインの庶民生活には欠かせない定食で話題になっているのがel menú del día más barato de España・スペインで1番安い日替わり定食店。 ピカソが生まれた港町でリゾート地としても知られている地中海沿岸、アンダルシア州はマラガ県の県庁所在地マラガ市、その中でもあまり旅行者が足を踏み入れない超がつく庶民的な街 Huelin・ウェリン地区にある市場内の店で名前も Bar Mercado de Huelin ・ウェリン市場バー、とそのまんまです。こちらの日替わり定食はなんと5ユーロ、円安の現在では換算すると約685円ですからそんなに超安とは思えないかもしれませんが、スペインの物価水準を考えたら通常の半額以下、これはビックマック1つとほとんど同価格です。

 毎朝5時、市場に魚が入荷する時間に店を開けてまずはコーヒーだけを提供、6時になるとパンが届くので朝食サービスがはじまります。場所柄、市場で働く人達をはじめとしてご近所の工事現場の職人さん、年金生活の高齢者、買い物がてらの主婦などが顧客筋ですが、店からほど近いサンクトペテルスブルグ国立美術館コレクション・マラガ分館見学後、迷い込んできた外国人観光客もちらほら見かけるとのこと。営業時間は朝5時から市場が閉まる午後4時には閉店、ランチは3時終了です。ランチ定食は月~金のみの店が多い中ここは市場の営業にあわせて土曜日でもこのお手軽ランチを頂けます。


写真1


写真2


写真3


写真4


写真5

 この店の料理の例をいくつか紹介すると、最初の1皿のチョイスとして写真1はマラガ人のおふくろの味、ジャガイモと肉の煮込みスープ、写真2,はチーズとツナをトッピングしたマカロニのトマトソース和え写真3.は定番のパエージャ、こちらは水曜日と土曜日にご提供、 そしてメインの2番目の皿の例としては写真4.アヒージョ・チキンにフライドポテトと(*)フライドエッグ、鶏と卵の親子皿? 写真5.は獲れたて鯵の鉄板焼にサラダ付き、スペインでは魚の向きは気にしません。いづれも映えないお皿ですが味と値段で勝負です。
(*)この揚げ卵、失敗作ではありません。スペイン伝統の目玉焼きはこんな感じです。こちらの記事をご参照下さい。
https://kc-i.jp/activity/kwn/yamada_s/20220622/

 実はこの店ではコロナ・パンデミックが蔓延する以前はこのランチを3ユーロで提供していましたが、感染予防対策で人数制限による顧客の減少、物価高騰などでやむなく5ユーロに値上げせざるを得ない状況になってしまったそうです。それにしても家族で支えあい、地元に支持されつづける人気店には間違いありません。タイヤ会社が発行するグルメガイドに掲載されているような星付き店とは対極路線を貫く存在ながら、下町の市場の喧騒とご近所さんの井戸端会議の騒々しさも店の魅力として楽しみながら食事できる自信のある方にはお勧めの食堂です。

特派員

  • 山田 進
  • 年齢寅( とら )
  • 性別男性
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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