このアリニャール、で思い出すのがシェリー酒で有名なアンダルシア州カディス県の古都へレス(Jerez de la Frontera)を訪れた時に頂いた人参のタパス、 zanahorias aliñadas です。 地元の人は語尾を端折ってzanahoria aliñá サナオリア・アリニャ⤴ と言ってました。これはなんとも簡潔で料理とも言えないような一皿ながらこれから始まる主菜の露払いとして、またちょっと一杯のアテとして、口の中をキリっとさせる爽やかな味わいで、鼻から抜けていくクミンの香りがアラブ文化の色濃いアンダルシアの風のようでした。地元ですから食前酒の辛口シェリー酒との相性は抜群ですね。
材料は写真1.の人参、ニンニク、クミンシード、オリーブ油、粗塩、そして水、いたってシンプル。作り方もなるべく簡単に私の自己流です。
写真1
〇まず人参を皮ごと輪切りにします。
〇次に水に少々の塩を入れて茹でます。すこし歯ごたえが残る固めがよろしいですが、そこはお好み次第で塩梅してください。(丸ごと茹でてから輪切りにするのもOK。もっと簡単に濡らしてラップで包みレンチンでも可。)
〇そのあいだにaliño(漬け汁)をつくります。ニンニクと粗塩、種クミンをつぶしてオリーブ油で練ります。
写真2.は茹で上がった状態です。欠けたところのあるのはゆで具合を噛んで確かめた跡で、頭の葉っぱが生えていたところも捨てません。 横には準備した漬け汁。
写真2
〇茹で上がった人参を冷ましたら漬け汁と酢、水を加えて一晩寝かせて完成です。言わば即席ピクルスかな?人参の皮をむいてきれいに切りそろえたり、漬け汁にオレガノやパセリのみじん切り、パプリカ粉などを混入したりして作るレシピもありますが上記の方法はあくまで個人的な手抜き版とご理解ください。
写真3.はその完成形です。恥ずかしい程のやっつけ仕事ですが、これがまたアンダルシアの空気を思い出させてくれると自己満足しています。また、ライスカレーのお供としても十分いける、というのもカレーにも使われているクミンの香りがマッチするのでしょうね。とはいっても福神漬けとラッキョウの最強コンビには負けますけど。
写真3
蛇足ながら、人参をヨーロッパ各国語で比べますと。スペイン語 zanahoriaポルトガル語 cenoura 英語 carrotフランス語carotte イタリア語 carota ドイツ語 karotte 。一時期イスラム教徒が支配したイベリア半島にあるスペイン、ポルトガルはやはり他の国々とはちょっと違いますね。