写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
写真1.材料はこれだけ、メルルーサの筒切り、鶏卵、小麦粉+塩と油です。写真2.若干の塩を振りかけてから粉をまぶして、写真3.溶き卵に投入、写真4.で揚げ工程を経て写真5.で完成です。 お決まりのレモンに加え、マヨネーズやらちょっと気取ってタルタル・ソースなどを添えてお召し上がりくださいとのこと。日本でしたら鱈の切り身で代用出来そうです。
名前にはア・ラ・ロマーナとイタリアの街の名前がついているのであちらの料理かと思いきや、実は海外で活動していたローマに本部を置くイエズス会の宣教師たちが復活祭前の肉食が禁じられていた謹慎の時期( tempora ad quadragesimae)に野菜や魚に衣をつけて揚げる調理をしていたので、ローマから来たお坊さん達の料理と言う意味でつけられたという説があります。このような起源話の定番で“諸説あります”の一つとご理解下さい。
話は若干それますがこのア・ラ・~とかはしばしば~風と訳されることが多くて、この料理もローマ風メルルーサと訳せます。でもこの何々風というのは本物ではないがそれに似た物というニュアンスがあって、例えば大阪風お好み焼きと言うと実際は大阪のお好み焼きとは違うものだけれどもそれみたいな、と理解する自分はへそ曲がりかな。北欧風の家、芸人風の人、ラテン風の曲、イタリア風もつ煮込み等々 、つまり~っぽいという感じでしょうか。
写真6
さて、お次の有名どころとなりますと写真6.のMerluza a la Vascaメルルーサ・ア・ラバスカですかね。こちらは料理界では珍しく誰がいつ、どこで作ったのかが分かっています。スペインの北東端、フランスとの国境を挟んで位置するバスク地方はビスカヤ県の街ビルバオで、 Plácida de Larrea プラシダ・デ・ラレアというご婦人が1723年5月に作ったそうです。オリジナル・レシピーはメルルーサ、蟹、ガリアハマグリ(Chamelea gallina),アスパラガス、をたっぷりのパセリと共に土鍋で煮込む料理です。
写真7
そして現在では蟹が茹で卵に、ハマグリがアサリに代わったり、グリーンピースを入れたりするのが主流のようで、パセリを多く使用するので Merlusa en salsa verde メルルーサのグリーン・ソース煮込みとも呼ばれます。もちろんこれ以外にも様々な調理法で親しまれているメルルーサ、特に食通の間で珍重されているのは下顎についているcocochasココーチャスと呼ばれる希少部位でここだけを集めてグリーン・ソース仕立てにしたりそのまま鉄板焼きにしたりして賞味します。写真7.これがココーチャスです。
写真8
と色々と凝った料理もあるなかで個人的に一番印象深いのは海産物の本場ガリシア地方の港町の定食屋さんで頂いたメルルーサの幼魚 Pescadilla の塩茹でです。写真8.地元名産のジャガイモと一緒に少々の玉ねぎとオリーブ油を入れ海水と同じ程度の塩分濃度で仕上げた飾り気のない料理でしたが、それぞれの素材の味そのものを味わえる絶品でした。