- 2016.12.13
- レジに向かってドキドキ
イタリアの郵便局、銀行、役所での長蛇の列でうんざりするのは暮らしてみないとわからない経験の一つです。
今でこそ番号制を導入している所がほとんどですが、
20年前には役所の窓口に行く、と言うことは半日を費やし、戦いに行くようなことでした。
暑い夏場に、クーラーのない役所の室内に入った途端、予想はしていたものの現実はもっと厳しい窓口前の長い列、それこそ列があればまだいい方で、殺到する人だかりを見て汗が吹き出てきたものでした。進まない列にしびれを切らしているミラネーゼ達の体温が上がってきているのか、室内がどんどん暑くなってくるように感じ、カッカして落ち着きを失った人のひじで突かれ、押されたり引っ張られたり揉まれている内に、私の後に来た人達がいつの間にか私の前に収まっていて順番を先越されたことが何回あったことでしょうか。
そんなイタリアで画期的なシステムが導入されました。それはスーパーにおけるセルフサービスのレジです。
スーパーの入り口に辿り着くと、沢山のデジタル端末機が並んでいます。各自のポイントカードをかざすと、その中のデジタル端末機の一つが選ばれて反応し、それを手に取ってスーパーでの買い物が始まります。購入する商品のバーコードを端末機で読み込んだら自分の買い物袋に入れてゆき(スーパーのカゴに入れる必要はないのです)、最後に専用無人レジの機械の所に行き、端末機に読み込ませた買い物情報を移すと、そのまま支払い手続きに進むことになります。
時々、抜き打ち検査があります。支払いをしようと専用レジの所へ行き端末機の情報を読み込ませようとすると、「読み直し」と言うメッセージが画面に現れます。そうなると、有人レジの所に行かなくてはなりません。有人レジでは、買い物袋に入れた商品全ての打ち直しをされ、端末機内の買い物情報と相違ないかを調べられます。その結果、買い物情報とレジ係のチェックが一致した時は、レジ係が「完璧ですね」と褒めてくれてポイントカードにポイントが加算されます。
端末機の買い物情報とレジ係のチェックの結果に違いがあった場合の方が、皆さんの気になる点でしょうか。
罰金? ポイント減点? ブザー鳴動?
いーえ、特に恥ずかしい思いをするような状況にはならないのです。
レジ係が戒めるでもなく相違点を指摘して、ただし褒めてくれずポイントももらえません。
そして次回の買い物時も「読み直し」になります。
そこでまた相違点があった場合は、2、3度目くらいの読み直しの時に、ポイントカードが没収されて端末機での買い物が出来ないようにされてしまいます。
レジの列に並ぶ必要も無くなったスーパーでの支払いは、抜き打ち検査の画面がいつ現れるかがわからないロシアンルーレットのようなスリリングな気分が味わえる、なかなか刺激的な買い物方法です。いーえ、別にズルをしている訳ではありませんよ。単に沢山のお買い物をする時に「読み直し」には当たりたくないものです。
商品を買い物袋に入れるのもセルフ、レジ打ちもセルフ、全て自分でするスーパーでのお買い物。
最後に「有難うございました」とお辞儀するのもセルフ?!