- 2017.05.01
- 声音
映画を見るのはお好きですか?イタリアでは、様々なチャンネルで国内外の映画が放映されます。イタリアで放映される外国映画の約80%はアメリカ映画で、それらは、ほぼ100%の率で音声の吹き替えが施されています。イタリア人声優のテクニックは、ごく最近まで実に高い評価を受けていました。が、その定評を得るに至るまでに色々な事があったようです。映画の音声の吹き替えが始められた頃(1920年頃でしょうか)、イタリア移民のハリウッド俳優が声優として吹き替えを行っていました。アメリカかぶれした、しかも微妙なアクセントのイタリア語に吹き替えがされた映画を本土のイタリア人が見て、おそらくプッと一瞬吹き出したに違いありません。イタリアにオリジナル音声の映画が来なかったのは、その当時はっきりとした理由がありました。外国人どころか外国語さえの侵入を恐れたファシズムが何が何でも阻止するために、吹き替えを強制しました。その結果がイタリア人の英語能力に影響していると思われます。それは、吹き替えと字幕スーパーが普及している日本でも共通する点でしょうか。ただし、イタリアの場合は、その当時読み書きの出来ないイタリア人が多かったので字幕スーパーの映画なんて考えられなかったように思われます。近年亡くなったイタリア人俳優Ciro Imparatoが声について興味深い分析をしていました。彼は、声優、作家、心理学者でもあり「君の声が君の人生を変える」という本を出していたと思います。声には6種類の色があって赤色は情熱、緑色は共感、青色は権威、黄色は好意、灰色は退屈、黒色は怒りや敵意の波長を持っているのだそうです。私は自分の声の使い分けにあまり注意を払ったことが無かったのですが、意識的に使い分けて相手の反応を観察することはさぞかし興味深い経験だろうと思います。と言うのは、人にしてやられたことがあるのです。あるプロジェクトに引き込むために私が初めて電話をした相手なのですが、嫌な印象を彼から与えられました。しかしながら後日の電話では何とは無なしに何かが違い、今でこそ親しくなり腹を抱えて笑い転げるような気心知れた仲なのでその印象の違いを正直に打ち明けた所、彼は最初の電話では意識的に青色の声を使ったのだそうです。絶句しました。彼は声の色の使い分けに興味を持っていて、日頃からのコミュニケーションにおいて声音に注目しているのだそうです。最近のコミュニケーションは、電話よりメッセージ。こちらも色分け、、、、、?