ミラノの中心地に一人で訪れるのは避けたい教会があります。その教会に入ってから、ひんやりとした通路を抜けると四方の壁が骸骨に埋め尽くされた礼拝堂に導かれ、2000個以上の骸骨にジッと見つめられて、まるで金縛りにあったようにしばらくの間身動きができなくなってしまいます。
それこそ霊感の強い人などは、この教会に近寄ることでさえ出来ないと思います。伏線ですが、霊感の強い私の友人がミラノの、とある広場を通ることを何とは無しに避け続けていたそうですが、ムッソリーニが絞首刑にされた広場だったことを後日知り、妙に納得したそうです。話は戻りますが、この聖ベルナルディーノ礼拝堂の骸骨だらけの壁を見て、キャーと悲鳴をあげて逃げ出した人には勿論遭ったことはありません。訪れる人は、無数の灰色の骸骨と美しい柔らかい色彩の天井画を眺めて、生と死について考えさせられるのです。
この教会を出た後は、目の前に建つ聖ステファノ教会が目に入り、それから視線を移して行くとドゥオモの頂上が垣間見え、すぐそばにあるミラノ大学の生き生きした表情の大学生達が目の前を通り過ぎ、徐々に正気に戻されて行くような感じを覚えます。
ミラノの街角のこの一角で、あなたは何を感じるのでしょう。