イタリアの夏場の食卓に定番として登場するのが、生ハムとメロン。生ハムのしょっぱさとジューシーなメロンの甘さが見事にマッチした一品は、食事のスターターとして最高です。
日本ではメロンは高級品としてかなり高値な果物で、桐箱に一つずつ収められて売られているメロンは旅行者のイタリア人を非常に驚かせます。イタリアではメロンは、実に安い果物で量り売りされています。
暑い日に火を使わずに満足感の得られるこのオードブル、食欲のない時でも食べやすく熱った体の体温を下げてくれます。その生ハムですが、スーパーでパックに入って売られている生ハムでも十分に美味しいですが、スーパー内のその場で切ってくれる量り売りの惣菜コーナーで、店員さんとやり取りを交わしながら買うハム類は更に美味しいです。
日本のお弁当の代わりとして、イタリアではパニーノ(サンドイッチ)が主流で、パンに挟むハムは欠かせません。イタリア人家庭にはしばしばハム専用のスライサーを備えていて、5キロくらいの原木を自らスライサーで好きな薄さに調整しカットして食卓に出します。
生ハムは豚の足で作られています。面白いことに、豚は一定の習慣を持っている動物で、どうやら就寝時にはいつも左側を下に横たわるとか。座る時もいつも左側の腿に重心をかけての横座りなので「生ハム通」のお客さんは店員さんとのやり取りの最中に一言、「右腿の生ハムをよろしく」という注文を付け加えるとも聞きました。そうなのです、右腿の生ハムの方が柔らかいのだそうです。こんな話を聞くと、食べ比べてみたくはありませんか?
生ハムの製造過程において、熟成のチェックをする時に「馬の骨」を刺すと聞きました。日本では「どこの馬の骨ともわからない」という言い回しがあって、生まれ育ちがはっきりしないとか素性のわからない者を指して侮辱的な言葉なのですが、生ハムの製造過程ではこの馬の骨に替われる他の物は無いと言い切れるくらい絶対的な重要な存在なのだそうです。
馬の骨はスポンジ状になっていて、その穴に匂いが入りやすいので生ハムの原木に素早く刺して抜き取って匂いを嗅いで熟成度を調べるのだそうです。このスポンジ状の無数の穴から生ハムの匂いが直ぐに発散され熟成度を調べる速度にも効果的で、検査には最高の「馬の骨」だとか。
これらの話を聞くと、生ハム職人の生ハム製造場を見学したくなってはきませんか?