その夕食時に旦那さんが「中央駅からホテルに行くためにタクシーに乗ることにしたんだけど、実は白タクに乗ったんだよ」と言い出したので、私は仰天して絶句しました。同時に私の脳内では、「やはり私が迎えに行くべきだったんだ。旅慣れているご夫妻なのに、なんで選りに選って白タクを。高額の料金を言われてボラれたっていう話を今から聞かされるんだ。彼らのミラノ滞在が思いやられるから私がしっかりとボディーガードをしなくっちゃ」などなどの考えが走り巡っていました。
旦那さんは涼しい表情で話を続けました。「白タクに乗ってからね、イタリアに来たんだからイタリア語を勉強しようと僕は思って、運転手に『ウーノ、ドゥーエ、トレ、クアットロ、、、、、』って話しかけてイタリア語の数字を習得していたんだ。ところが、14まで来た時に運転手が『もういい!仕方がないなー!14ユーロでいい!』って怒鳴ったんだよ。」
私は二度目の絶句状態。
白タクの運転手も二回絶句したことでしょう。値切る習慣の無い日本人が値切り出した上に、1ユーロから値段交渉を始めるお客なんて後にも先にも無い前代未聞の経験だったに違いありません。
純粋無神に数字を数えて学んでいる旦那さんとしたたかな白タク運転手のどちらがボケでどちらがツッコミなのかわからないコント風一コマなのでした。
さて、ご夫妻のミラノ観光。教会や美術館めぐりは、イタリア入りする前にヨーロッパの各都市であまりにも沢山しすぎしてしまって、今やお腹一杯で飽き飽きの状態になってしまったそうです。そんな彼らのための観光ルートを私は慌てて考え直すことになりました。そこで大急ぎでミラノの珍しいものを探している時に、目に留まったトピックの一つが「エスキモーの家」。
ミラノにイグルーがあるのです。でも氷では出来てはいません、、、
「新聞記者の村」という地区がミラノにあるのですが、そのそばに「小人たちの通り」というあだ名が付いた通りがあります。「新聞記者の村」地区は閑静な住宅街となっていて住宅を眺めながら散歩を楽しめる地区なのですが、密かに目的地が存在していて、それがこの「小人たちの通り」。この通りに煉瓦造りのイグルーが建っていて、その奇抜さに驚かされます。
1945年ごろに建てられたこのキノコ型の住まい。建設当初は12軒あったそうですが、今は8軒のみが残っており、外壁の痛みが激しい住まいもいくつか見受けられるので少々残念です。建設当初は建築家の斬新的試みだったのでしょう。今ではその独特さ、可愛らしさで見る人を楽しませ、中はどんな風なのだろう、住み心地はどんな感じなのだろうと想像を掻き立てられます。
この形の丸さが見る人、住んでいる人の性格も丸くする、、、?!