日本人がこよなく愛する四季を作曲したヴィヴァルディ、モーツァルトの天才性に嫉妬していたらしいサリエリ、心地よいメヌエットと言えば思い浮かべるのがボッケリーニ作曲のメヌエット、楽しい気分になる曲を作曲するのが上手なロッシーニ、ヴァイオリンの超絶技巧で有名な魔性の天才パガニーニ、オペラの傑作を生み出したと言えばヴェルディやプッチーなどなど。
大作曲家をたくさん生み出した国のイタリアだから、さぞかし日常的に音楽と密接した生活を送っているのだろうと思いきや、意外や意外、大抵のイタリア人は音符を読んだことがない、つまり音符を読めないのです。チェロ奏者の私に、趣味でチェロを習いたい、とレッスンに来るイタリア人にチェロの弾き方を教えるはずなのが、音符やリズムの読み方のレッスンになっているのが現状です。そんなわけで音楽が大好きな日本人は、学校で世界に恥じない立派な音楽教育をも受けているのだなぁと感心しています。ヴェネツィアでは、ゴンドラの漕ぎ手が漕ぎながらカンツォーネを歌い出すと、乗客の日本人が一緒に歌い出すので、漕ぎ手がびっくりして絶句していたとも聞きました。
ところが「こんなところに音楽?」と私の目を輝かさせた意外な場所にピアニストを発見。イタリアの国会中継をテレビで見ていると、ピアノらしき楽器、みなさんがよくご存知のあの白黒鍵盤のミニサイズのピアニストを弾いている人がいるのです。
ほぅー!議会に心地よい音楽?!血気盛んなイタリア民族のことなので、国会でしばしば議論が沸騰しすぎて議員同士の殴り合いが始まったりするのです。それを緩和するために、リラックスさせる効果のある音楽を演奏してくれるミュージシャンを配置しているように見えます。実際に「ピアニスト」と呼ばれているこのミニピアノを演奏する人は、実は速記者だったのです。
イタリアの速記の機械は、ピアノの鍵盤にそっくりな白黒でできていて、ミケーラ マシーンとも呼ばれています。この機械は、1878年にAntonio Michela Zuccoという人が発明して以来、現在に到るまで議事会で使われています。
白黒合わせて20個の鍵盤で出来たこのひょうきんなミケーラ マシーンは、今日ではコンピューター化されていますが、機械の外見は昔からの形そのままです。1分あたり180語以上の単語を速記できるそうで、ミケーラ マシーン速記大会が何度も行われた中では、1分あたり200以上の単語を速記できた人がいたとか。
ピアニストの超絶技巧に劣らない早業を持つ議会のピアニストたちの中には、本当のピアノを弾く人もいたりして、、、いずれ調査してみます、、、
参照データ:ウィキペディア