• 2019.02.05
  • 悪夢の12月と1月の魔女
暦の師走、12月の日本の暮れは、何かしら追い立てられるような気忙しい月と感じるのは日本人ならば誰しもが思っていることでしょう。
クリスマスプレゼントを用意したり、お歳暮を贈ったり、元旦に届くように間に合わせるために年賀状を認めて郵便局に送ったり、正月三が日を迎える支度をしたり、参加している数々のお集まりでの忘年会に出席したり、歳末の大掃除をしたり、、、、、
そんなこんなで大晦日の晩には疲れ切ってしまっている私は、情けないことに除夜の鐘を聞く前に就寝してしまっていたものです。


イタリアでも12月に入ると町の雰囲気がガラリと変わります。それこそ11月初旬のハローウィーンが終わった途端にクリスマス用品が並べ始められるので、近年の遅れがちな冬の到来に加え暖冬のせいで、抵抗感と違和感を覚えながらも11月からクリスマスを意識することになります。



これは内緒なのですが、私は12月を毎年のように憂鬱な気持ちでミラノで迎えています。それは、12月のミラノがひどい交通渋滞に見舞われることから移動に通常の2倍の運転時間を見込まされることが不愉快でたまらないと言うのが表向きの口実。


イタリアには忘年会は無くてその代わりに数々のクリスマス会が行われ、同僚たちとオーバーな飲食を繰り返して消化不良になったところで12月25日が来て、家族親戚一同集まって食べきれない量の御馳走を持ち寄りクリスマスを祝うのですが、その頃には、消化器官が麻痺しているのか、苦痛を通り越したのか、ひたすら勢いに乗って飲食を続けます。



それからプレゼント交換、、、、、それからトンボラというクリスマスにするイタリアのゲーム、、、、、それからまた食事、、、、、




加えてキリスト教国のイタリアでは12月26日も大事な祝日。そこでまた家族と御馳走を分かち合い、その頃には200キロ近い相撲取りにでもなったような気持ちがするのでシコを踏んで取組みをしたくなります。もっと大きなサイズのスカートを買わなくっちゃ、となったところで12月31日の大晦日の夜を迎えるのですが、今度は一番親しい友人たちと夕食パーティーで暴飲暴食、花火を打ち上げて1年の締めくくりを祝い、1月1日が到来する瞬間の秒読みをして騒いだところで、やっと12月にお別れができる。当分の間パーティーはごめんだわ〜と思うのです。


ところが、イタリアではクリスマスが終わっても、12月26日の聖ステファノが終わっても、大晦日が終わっても、まだまだお祝いが続くのです。とりわけイタリアの子供達には、1月6日も待ち遠しい特別な祝日なのです。エピファニアと呼ばれる1月6日の朝に、子供達はベッドから跳ね起きて前の晩のうちに吊るしておいた靴下の中を見に飛んで来ます。その朝を迎える前にべファーナと呼ばれる魔女が、良い子には素敵なプレゼントを、悪い子には炭を靴下に入れておくからです(炭だったぁぁぁ!と泣いた子には今まで出会ったことがありませんので、みんな良い子なのでしょう)


ここまで来てやっとクリスマスツリーを片付けてもいいことになっています。未だに片付かないのは、クリスマスにもらった数々のプレゼントと、お腹周りについた自分で自分にあげた脂肪のプレゼント。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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