• 2019.03.26
  • 最高に美しい乗り物に乗って
半島であるイタリアは、島国の日本に劣らないほど幾つもの海に囲まれています。地中海と呼ばれるアドリア海、ティレニア海、 リグリア海、イオニア海、、、、、 それでも4つの国とも陸上で国境を隔てていて、スイス、フランス、オーストリア、スロヴェニアとは陸で繋がっています。

ミラネーゼは車を1時間飛ばせばスイスのルガーノに到着出来るし、約3時間でフランスと国境を隔てているあの有名なモンブランの麓に着き、南チロルと呼ばれているボルツァーノには、ミラノからはたったの4時間の電車旅行で、そしてそのすぐ先にはオーストリアとの国境。

この地理条件がミラネーゼの旅行感覚に少なからず影響を与えているようです。移動手段としていろいろな選択が生まれてくるので、ミラノからヨーロッパ各地への旅行はバイク、車、長距離バス、電車、飛行機と何でも可能で、自分の旅行スタイルとニーズに合わせて旅行プランを柔軟に立てていくことが出来ます。

ちょっと変わった移動手段と言えば、近年の人気旅行の一つであるクルージングがあります。ローマ近郊のクルーズ発着港の他に、ベネツィア、ナポリ、ジェノヴァなどがイタリア人に海への旅を開いています。

先日、世界最大級の一つである豪華客船の完成祝いに参加してきました。2019年3月中旬に初出航予定のBellissimaという客船です。「最高に美しい」という意味のこのクルーズは、2016年に進水式をしたMeravigliaという客船の妹にあたります。




このクルーズ会社は、Meravigliaの姉妹客船を3隻作る予定で、所有者はイタリア人ですが造船所をフランスのサン ナゼール港に持っています。2019年に11月に完成予定の3隻目Grandiosaも、完成したばかりのお姉さん船、Bellissimaの横で 造船が着々と進められており、更にはその横で末っ子4隻目の造船が進行中ですが、まだ鉄骨むき出しの不恰好な姿で豪華に仕上げてもらうのを待っている状態。私の聞き間違いでなければ、4隻目の名前がまだ決まっていないとか。




これらの豪華客船の造船費用についてですが、金額の桁の多さに度肝を抜かれているうちに正確な金額を忘れてしまいました。それでも7、8億ユーロだったと思います。完成度が高いのは3隻目と4隻目だとか。つまり1隻目の欠点を改善して作られる按配でしょう。

さて、2隻目のBellissimaの数日間の船室滞在体験ですが、まず171,598トンという数字を聞いただけでは私には大きさの想像がつかなかったのですが、乗船の際に目の前にそびえ立つ大きさは迫力満点でした。旅客数5,686人、315メートルの長さ、43メートルの高さと言った方がより想像しやすいでしょうか。



動くホテル付きのアミューズメント施設と呼べるこの船内に無いものは無い? 

プール、スパ、カジノ、プレイルーム、バスケットコート、劇場などなど、、、、快適に楽しく過ごすためのものは何でも揃っています。








ある意味で一種の束縛感のある船上生活。それでも何故クルージングの旅に出かけるのか?そして何故船上レクリエーションを楽しみたいのか、陸上のアミューズメント施設と比べて一体どこがいいのか、と聞かれたら、クルージングの旅行をした事が無い私は少々返事に困るでしょう。

が想像するに、日常生活との接点が無い環境でヴァカンスを楽しむという共通の目的を持った乗客の集まりであるが故に生み出される「確保されたリラックスしたムード」が数日間のクルージングで楽しめると言うのが、一番の魅力を生み出しているのでは無いでしょうか。次の渡航地までの間、船上生活を楽しみながら渡航地で見てきたものをゆっくりと味わう時間が持てるのも、スピード感のある現代生活を忘れさせてくれるに違いありません。とりわけ、せわしないミラネーゼにはオススメなヴァカンス方法のように思えるのです。

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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