何もかもが停止した日々。
収穫されないまま放置された農作物、買い手のない漁獲された魚、海外に輸出されるはずだったワインなど、 止まった時計のように放置された状態がテレビのニュースで連日取り上げられました。それプラス、悲鳴をあげるレストラン経営者達の声も。イタリアを訪れる旅行者達にとって、由緒ある歴史名所や感動的パノラマの観光スポットは勿論ですが、イタリアングルメが最大の旅行目的であるのは間違いありません。が、外国人旅行者どころか、ミラネーゼでさえ行きつけのレストランで外食を楽しむ事がこの先できないかもしれない事態となったのでした。
イタリアの食文化を世界に商業的にわかりやすいようにブランド化したのが、EATALYの創立者ファリネッティ氏です。最近は、日本にも進出したので馴染みのある方もあるでしょう。
EATALYとは、イメージしやすく言い直すと高級食材フードマーケットです。EATALYの本店はトリノだそうですが、ミラノ支店の方が豪華な店構えになっているようです。ミラノ支店は開店したのが2014年で、私は開店時の特別イベントなどを避けて 訪れたのですが、にも関わらず一足踏み入れた途端にお伽の世界に入り込んだような華やかさがありました。
「僕は料理好きだから、EATALYで買い物を始めたらその日の内に一文無しになっちゃう」と半分嘆くようにEATALYが扱っている食材の素晴らしさを物語った私の同僚。一方、EATALY ミラノ店は、食にあまり興味が無い人でもイタリアの食文化の豊かさを認識できて、何か一種の展覧会を訪問するかのように楽しめる場所でもあるのです。
EATALYは中心地にある劇場を改装して 誕生しました。ガラス張りの表玄関を見ると、私もワクワクしてきて、嬉しさいっぱいに原っぱに飛び込んでいく犬のようにこのデパートに走り込んで行きたくなるくらい、そう、「ハイセンス」の一言に尽きます。EATALYの開店は「どうして今まで無かったのだろう」とミラネーゼに思わせるような、ミラノにあって当然の欠かせないマーケットとなりました。
3階まで吹き抜けになっている1階の野菜売り場で、綺麗に陳列された野菜を物色していると、お料理が下手な私でさえ星付きのシェフになったような気分になって、極上の洗練されたメニューを作り上げられるような気がしてくるのです。
1階で野菜を吟味したら、2階に行って肉、ハムやチーズを選び、3階ではお料理にあわせるワインを。ゴクンと思わず生唾を飲み込んでいることに気がつき、店内のフードコートに駆けこんで、吹き抜けの店内を見下ろし又は見上げながら、本場 の味を楽しむ事が出来るのも魅力です。
買い込んだ食材、レシピ本、キッチン用品で、さあ、あとは家で実践!