• 2020.07.29
  • ボッビオ
ミラノに住み始めて間もない頃から、ボッビオと言う村の名前は時々耳にしていました。ミラノから約100キロ南に下りた所に位置する人口約3500人の小さなボッビオ村。
でも、なぜボッビオ村が結構知られていて、話題に取り上げられるものなどを全く知らないでいました。

知り合いのコックさんが、ボッビオ近くの山頂のレストランで働いていて、夏場には緑色の山々に囲まれた素敵なテラスで食事が出来るんだヨと誘ってくれて、土曜日のランチをめがけて車を走らせました。

ロックダウンが解除されたものの未だに感染者を出しているロンバルディア州にいる私は、家に閉じこもることが定着してしまったらしく、久々の遠出のドライブに奇妙な感覚。

ボッビオ村を横目に通り過ぎた後は、なだらかな山道に入り、その下方には綺麗なエメラルド色の川のうねりが見えてくると、「おいで、おいで」と呼ばれているような気がしてドライブがどんどん楽しくなって来る所。


その後は細い道を上り詰めて標高約500メートルのブルニェッロの山頂にロッカ ローザというお目当のレストランが現れました。


メニューを見るとキノコ類の料理が多いので季節外のような気がして不思議に思い、尋ねてみると、「ハハン、ミラノからやってきた都会モンだね」と言いたそうな顔をしながらコックさんが、このあたりではすでに旬なのだと言いました。そして付近に住んでいる住民が摘み取ったばかりのキノコを売りに来るそうで、今日も今朝採れたてのキノコが調理されるのを待ってるヨ、とコックさんはウィンクをして言いました。


それならば、アンティパストにオーヴリというキノコのサラダをオーダー。このオーヴリ キノコは、日本語の『大振り』みたいに聞こえて覚えやすいし、オレンジ色で、生えきたその丸い形はとても愛嬌があるのだ。


それから、プリモ(第1の料理)には、黒トリュフのリゾットを。キノコ マニアならば黒トリュフより白トリュフの方が風味が良くて高価なことをご存知でしょう。でも、黒トリュフは癖が無いと言ったらちょっと違うけれど、白トリュフよりも落ち着いた風味で控えめなのが特徴で、これはこれでなかなか良いトリュフです。


それから、セコンド(第2の料理)には、ポルチーニ キノコのグリル。ポルチーニの美味しさは、過去の記事で紹介しましたからそちらを宜しくどうぞ。


デザートもキノコ、とは流石に言いませんが、キノコ三昧のランチにしたにも関わらずまだ食べ飽き足らないくらい。このまま山に籠って、キノコ狩りの日々明け暮れ、キノコ三昧の食事に浸り、キノコと共に人生を過ごしたい。なんちゃって。

キノコで満腹になって動くのが億劫になった自分に鞭打って、再び車乗。山を下ってボッビオ村へ。ボッビオには、ウンベルト エーコが「薔薇の名前」というベストセラーになったあの小説を書くときにモデルにした修道院があるのです。映画ではドイツのある修道院がロケに選ばれていてその映画しか見たことが無いと言う私に、イタリア人たちから「小説を(イタリア語で)読んでごらん。素晴らしいから」とずっと勧められて聞き流して今日まで至りました。が、ボッビオの空気を吸ったことを機に読んでみようと思い、本を購入。600ページの分厚さに躊躇いました。語学力の無い私は、読み終えられるのかしら、、、


ボッビオには、悪魔の橋や、 聖堂地下の見えないモザイク(料金式点灯スイッチで電気をつけないと気がつかない)など、ウンベルト エーコになったかのようにミステリー小説を書きたくなるような題材があります。

そうねぇ、悪魔の橋、隠れモザイクに毒キノコを加えたらミステリー小説が書けそう!

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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