年末年始営業のご案内
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  • 2020.10.28
  • 「頑張れ」と言われたら?
人生には頑張らなくてはならない事だらけ。

大きい事、小さい事、初めて挑戦する事、何度も挑戦している事、やってみたい事、やらざるを得ない事など様々な場面で頑張るべき事柄に満ちている私たちの人生。考えてみれば、「頑張ってください」という声掛けは、とても頻繁に使われるし、お便りの締めくくりにもこの一言を添えると応援している気持ち、見守っている気持ち、良いお知らせを期待している事が伝わってよい印象が残るし、自分で「頑張ります」と発言する時は、やる気がある積極的な印象が伝わり、宣言をした本人にも更なるエネルギーが湧いてくるようなマジカルなパワーがあって、とてもいい。

頑張るという言葉には、この2つの漢字の影響か言葉の持つ響きなのかはわからないけれど、力んで挑むような躍動感にあふれたイメージが私にはあって、イタリアに移住したばかりの頃に「頑張れ」と声をかける時にイタリア人が言っているフレーズには、何となくピンボケした印象が拭えなかったのでした。

その言い回しとは、「IN BOCCA AL LUPO」

「オオカミの口の中へ」という意味。オオカミの口の中に飛び込め、と言われても頑張るどころか、怖くて萎縮するか逃げ出したいかのどちらかじゃないですか?

もしかしたら、死を覚悟で行け、という意味かな?と推測したものです。あの当時私にはピンと来ない響きの「IN BOCCA AL LUPO」という 応援の言葉をかけてもらって、意味を頭の中で探りながら「、、、ありがとう、、、」と言うと、「IN BOCCA AL LUPO」と言われたら「ありがとう」とは言わないものなんだ、とイタリア人が更なる訳のわからない教えを私に覆いかぶせました。

お返事には、「CREPI」

どうやら「くたばれ」という意味らしい。応援してもらっているのに「くたばれ」と返事をするなんて、日本育ちの私には受け入れがたい表現でした。が、よくよく聞いてみると「CREPI Il LUPO」が正しい表現だけれど、短縮されて「CREPI」。つまり本来は「オオカミめ、くたばれ」という意味なのですが「オオカミ」の部分が省かれるので、語学力の乏しい外国人の私には「何だよ、お前なんかくたばれ」みたいな返事に思えてくるのでした。

ところが「くたばれ」と私が返事し続けた20年後の今になって、あるイタリア人が「CREPI」と返事をするのは実は間違っているんだ、と言うのです。




、、、、実は「IN BOCCA AL LUPO」には奥が深い歴史が、、、

ローマ建国神話に登場するオオカミに関係しています。雌オオカミに助けられて育てられたロームルスとレムスの話なら皆さんは聞いた事があるでしょう。お母さんオオカミが赤ちゃんオオカミを口にくわえて安全な場所に運ぶ習性にも因み、母狼の口が縁起の良いシンボルということから発祥したようで、その幸運をもたらす「口」に対して「くたばれ」の返事はおかしい、という研究が進んだのでしょうか。なので「生き延びる」という意味の「VIVA」が正しい返事なのだ、と今更になって説明を受けました。他にも少しずつ違った言い伝えがあるようです。

「CREPI」と返事をするか「VIVA」にするか、、、

どっちにしよう?

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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