例えば?
日本ではしゃぶしゃぶ用の薄切り肉がどこでも当たり前に売っているけれど、イタリアにはそんな薄切り肉は需要が無いのかスーパーには見当たりません。昔、日本人駐在員が多く住んでいた地区のお肉屋さんでは、「shabu shabu」と言うと日本人好みの薄さに切ってくれる、と聞きましたが私の住まいからは遠かったので試した事は無かったのです。それで私は近所のお肉屋さんに「どうしてイタリアでは日本みたいな薄切りカットが無いのかしら」とチラリと言ったところ「薄切り?言ってくれれば薄く切ってあげる。機械じゃなくて修練した僕の腕でカットしてみせる」と自信満々に調子良さそうなことを言ってカットを始めた。「はい、どう?十分に薄いでしょ?」と言ってくれたお肉は、予想していた通り私たち日本人には薄切りには程遠い「薄切りなりそこないカット」でした。もちろん「すごい!いいセン行ってる!」と喜んであげました。
一方、鶏肉も骨つき皮付きで売られているのが殆どなのでこのままの形で調理される事が想像できて、フォークとナイフの国にいるんだなぁ、とつくづく思い知らされます。でも逆に面白いのは、七面鳥、うさぎ、子牛の肉がごく普通に売られていることです。子牛の肉なんて日本の一般家庭ではなかなか手に入らない物ではありませんか。
子牛の肉は、色々な部分がカットされて売られています。私のお気に入りの部分はいくつかありますが、とても安いのに美味しく仕上がる部分が1番のお気に入り。ウフフフ。
パックがゴロンゴロンと積み重なっているところを 「今日は、あるかなぁ」と宝探しのような心境で掘り起こします。そう、かなり大きな塊の部分。いつも売られているわけでは無くて時々見つかるCappello di prete(司祭の帽子という意味)の子牛肉。前足の付け根部分というのでしょうか、筋肉質だけれど脂分も少々あって切り取ると司祭の帽子の形に似ている事からこの名称を持っています。スーパーで売られているパックでは、そのお肉はカットされてしまっているので、残念ながら被りたくような帽子の形はしていませんが、、、
表面に焼き色を付けたら、ニンニク、人参、玉ねぎなどのみじん切りや、白ワインをかけて約1時間ほど煮込むと、お料理下手な私でも最高の食感の仔牛肉料理に仕上がります。
ところで 同じ名前の司祭の帽子と呼ばれているお皿があって、こちらは本当に帽子そっくりの形。盛り付けがおしゃれに見える素敵なお皿。
ついでに、 日本では見たことがない 線状に束になった緑色の野菜が売られていて、こちらは修道士のヒゲという名前。ちょっぴり酸味があって、それは塩茹でして付け合わせの野菜。
先日記事に取り上げた「神父の絞め殺しパスタ」を加えれば、「坊さん」メニューができそうです。でもデザートは、、、?