その壁とは、言語。
同級生の言っている事が理解出来ない自分の姿に気がついたのです。 その時人生で初めて生の方言というものに接したのですがアクセントが少々違うだけでも同じ単語には思えなかったくらい強烈な体験でした。仲良くなりたくても相手の言っている事が理解出来ないので無意識的に距離を置いていたのでしたが、その「意味のわからない言語を操る生き物」だった同級生たちは、あっという間に東京弁に対応しあの壁はいつの間にか消えていたのでした。
イタリアでは方言や訛りが根強く残っている故に、身分証明書の代わりになりそうなくらい素性がハッキリするので一種の自己紹介のような役割を果たしています。見知らぬ人同士の会話では相手のアクセントを注意深く聞き取っておいて、出身地を尋ねる事無く把握してしまうわけです。言語のみならず各地の伝統料理や習慣の地域性が強く残った背景には、これらの地域はもともと独立した国家だったことが影響しているのですが、地域性が重んじられている一方対抗意識もかなり強く、時には相手の地域の方言や訛りを真似てみせて皮肉ったりもします。
イタリアの首都は、ローマ。ミラノに住んでいるが故にミラノがイタリアの首都だったらいいのにと私は密かに思うのですが、それは標準語においても同じ。ミラネーゼが標準語でないことを知った時はがっかりしました。ではローマのローマ弁が標準語?
いーえ、標準イタリア語とはトスカーナ州で話される言語。この事実を受け入れるのも抵抗がありました。トスカーナ州にあるフィレンツェではCの発音に強い訛りがあって、例えばCoca colaはコカコーラとは言わずにホハホーラと言うんですよ。間が抜けてません?
ところでミラノから50キロ離れた素敵な城塞都市ベルガモは、私が住んでみたいイタリアの町トップ5に入ります。中世以来の城壁があり、昔から働き者だった地域なので商業的にも発達を遂げ、更には地形にも恵まれて高台から見下ろす田園風景の素晴らしさと言い、今も尚バランスのとれた魅力的な町なのですが1つだけ問題が、、、それはベルガモ方言。他州の方言には存在しない音が多い方言だとか。なのでベルガモ外のイタリア人には、聞きなれない滑稽な響きもあり訳のわからない方言とみなされています。私には微妙なイントネーションの「ウ」とか「ンダ」とかに聞こえる単語が多いように感じられます。
でももっと強烈なのはサルデーニャの方言。島という土地柄上、周囲からの影響が少ないせいか方言も濃厚な感じ。
ミラノとは仲が悪いと言われている北部の町、トリノ。その州では最後にネをつける所を私は気に入って真似て何かとネをつけるのですが、トリノ出身ですか?と聞かれた事はまだ無いです、、、ネ