ところで日本のカレンダーではこの六曜が見受けられますが、一方、西洋のカレンダーではキリスト教の守護聖人の名前が記されています。カトリック教徒の国のイタリアでは、守護聖人の日は今でも重視されていて、生まれた赤ちゃんに名前をつける時に生まれた日の聖人にちなんだ名前をつける場合もあります。必ずしも1日に1人だけの守護聖人とは限らず日によっては何人もの守護聖人を記念しています。
イタリアではお祝い事や祝日が多い気がするのは、自分の名前の守護聖人の日も祝う習慣があって、そこに誕生日も加わって「おめでとう」と言い交わすイタリア人たちの人生はお祝い事だらけ。イタリアに来て間もない頃は、自分の名前の日まで祝ってもらう習慣に半分呆れていたのですが、誕生日を思い出すよりも守護聖人名の日の方がカレンダーの助けもあって思い出しやすいので、たった一言のおめでとうだけでも言いやすい良いキッカケであることに気が付いてからは考えを改めたのでした。
さて、この守護聖人の名前入りカレンダーからは面白い習慣が沢山見えてくるのですよ。その中でのお気に入りの1つは、11月11日の聖マルティーノ。お引越しの日と呼ばれている、と聞いてたったそれだけで何だか面白い日だと楽しい気分になるのは私だけでしょうか?伝説では11月11日にマルティーノが馬に乗って出かけた時に、寒さに震えている乞食を見かけ気の毒に思い自分のマントを劔で切り裂いて半分をあげた途端に、太陽が顔を出してあっという間に夏の気候に変わったのだとか。それ以来、11月11日は晴れるという迷信が生まれ、引越し作業の日にもってこいだと言われているのだそうです。
引越しの日が晴れるのは確かに大変ありがたいですが、例えば日本での秋の運動会にも 聖マルティーノが参加してくれたら、雨天を心配することもなく準備万端で張り切った小学生たちを応援できることでしょう。
2月3日は、一切れのパネットーネを食べる日とされていて聖ビアジョの日です。 謂れでは、喉に魚の骨がつかえてしまった子供を救ったことから、聖ビアジョは喉の守護神となったのだとか。魚の骨も含め咽頭痛に襲われないように聖ビアジョの日をお祝いしてパネットーネを食べる習慣が生まれたのですが、喉のケアに神経質な歌手にはおすすめです。
ところで、この1日前の2月2日は冬が終わる日を予想できる日とされています。聖カンデローラのこの日は、冬と春の真ん中の時期にあたり暖かくなったりまた寒くなったりの繰り返しが続くのですが、この日に天候が悪い場合は冬がもう1ヶ月続き、晴れたら春の到来は間近だと言われているのだそうです。聖カンデローラはキャンドルのマドンナと訳したらわかりやすいでしょうか。この日に、カトリック信者はキャンドルを灯して災いや自然災害から守ってもらうように祈る日とされているそうです。
祝い事が沢山あるって良いことだと思いませんか?自分のと他人の祝い事でいっぱいの人生は、さぞかし人間関係に衝突も少なく笑みをもたらすことでしょう。