• 2022.03.17
  • 自転車フレンドリー
代々からのミラネーゼに街中の移動手段はもっぱら自転車という人が多いことに驚かされます。と言うのは一時期、私も市内の移動を自転車で過ごしてみましたが、すぐにギブアップ。なぜかと言いますと、まず第一に日本とは違ってイタリアでは自転車は歩道を走ってはいけなくて車道を走行する乗り物なのです。免許を持たなくても運転できる車が走る国で、免許を所持していてもフェラーリの国という事が影響しているのか一般市民もスポーティードライブをする国柄のこの街中で、自転車が一般道路を走行するのが容易ではないのは想像できますでしょうか。その上、場所によってはアスファルトが敷かれていなくて凸凹の石畳が残っているところもあって、イタリア人のような肉厚なお尻でない私の貧弱なお尻は凸凹道の衝撃をまとも受けることになります。


更には、自転車窃盗大国でもあるので、最新型のチェーンをどんなにグルグルと巻きつけておいても盗まれてしまうのです。盗まれないようにと思って壊れかかったような古い自転車を手に入れて対策しても「バカだなぁ、一番よく盗まれるのがこういうオンボロの自転車なんだよ」と言われると、もうお手上げ状態。


ところで夜も更けた頃に車を運転をして自宅へ向かう途中、時々ミラノ市内で 出くわしてしまうサイクリストの大群があります。この大群に出会ってしまうと20分とか30分間くらい身動きが取れなくなり、大群が立ち去るのをひたすら待つのみ。



ミラノは世界で唯一のサイクリング パーティーがイベントとして残った町だそうでミラノから大集団で出発して北上し100キロくらいペダリングするのだとか聞いた記憶があります。このパーティーとは別に毎木曜日の夜にCritical Massと呼ばれているサイクリストの集まりがあってサイクリストが集団で動くことによって、車を運転しているドライバー達を動けなくしてブロックしてしまうというエコロジー運動の1つ。この運動はイタリア各地で行われているようです。そう、私が時々出会ってしまうのがこのCritical Mass(今年2月27日は20周年記念日で夜だけでなく午後からサイクリングを行ったそうです)



さて、ミラノ市は2020年から急ピッチで街中にサイクリングロードを整備しています。昨日まで複線の車線だったところにサイクリングロードが敷かれた場所が増えて、その多さに私も含め市民は戸惑っています。実際に、ちゃっかりとサイクリングロードの上を走行してしまう車も多く、私自身もふと気がつくと自分が走行している車線がいつの間にかサイクリングロードになっていて慌てることが時々あります。

パンデミックの影響で、移動手段を自転車やキックボードに変えたミラネーゼが多いのでこのサイクリングロードはこれからどんどん利用されていくことになるのでしょう。ただし、最近では自転車やキックボードが走行してはいけない車道などへの走行が多く見受けられるようになり、とりわけ自転車デリバリーで配達時間を削るためにそんな無理をしているケースが増えているように思います。

自転車フレンドリーな街として発展をして、車で出かけることに違和感を感じるくらいサイクリストが増えたりするのかしら?

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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