ところで 「ヒェー、よくまぁ、こんな気持ち悪いモンが食べられるね!」なんて外国人に驚かれたことはありませんか? 日本人は発酵食品を豊富に食する国民だと思います。馴染み深い食品では、納豆。私は大好きで、ネバネバしているのを気持ち悪いなんて思わずに、臭いなんて思ったこともなく頬張ります。
それよりも、ブルーチーズとか癖のあるチーズにビックリした経験がありますが、味覚とは不思議なもので、もう一度ビックリしたくて繰り返しているうちに、ハマってしまって好きになったりすることも。が、ビックリのレベルが強すぎて、こんな私でも試す勇気が出ないものがイタリアにあるのです。それは、視覚と匂いと食感、全てにおいて強烈な経験だ、とイタリア人にさえ言われているウジ虫チーズ。
生きているウジ虫がクリーミーなチーズにまみれて体をくねらせているところをナイフですくい取って食べる。
このうじ虫入りの奇妙なチーズが一番有名なのは、サルデーニャ島。この島は、世界に誇れる美しいビーチだらけ。四方を海に囲まれているから伝統料理は魚系かと思いきやどっこい、実は子豚の丸焼きが代表的な名物料理。
訪れる州の伝統料理に興味津々の私ではありますが、今回のサルデーニャでは流石にその好奇心も躓きました。そのチーズがメニューにあるレストランに行く勇気でさえ出ませんでした。子豚の丸焼き料理は街角のあちらこちらで見かけるせいなのか、だんだん見慣れてくるのですが、ウジ虫チーズ(Casu Marzu)を見慣れるまで時間がかかりそうだし、それを口に運ぶかどうかに関して勇気の度合いに自信が持てませんでしたので。
チーズ通には、堪らない最高のテイストのチーズらしいのですが、衛生上問題ありということで、なんと一般市場での販売が禁止されてしまった代物。というのは稀に見る例ではあるらしいのですが、チーズと共に体内に入ったウジ虫が胃の胃酸で死なずに腸にまで辿り着いて住み着いてしまうこともあるので、世界一危険なチーズとさえ呼ばれ、更には、チーズをすくう時にウジ虫が飛び跳ねて目に入らないようにメガネをかけるべきという注意事項まで存在しているので、よくよく聞きただしたところ、チーズの中をモゾモゾと動いているだけではなくて、どうやら恐ろしいことに、これらのウジ虫は勢いよく跳ねるのだとか。
その反面、このチーズを作る工程はかなり興味深く、作っている農家を見学するのもお勧め。簡単に言うとチーズにハエをたからせて、卵を産み付けてもらい、卵から孵った幼虫がチーズを食べて酵素を分泌することで、チーズの発酵が進み、腐ったかのような状態にまで熟成することによって、舌の上でとろけるようなクリーミーなチーズの誕生。
あなただったら、このチーズを試してみますか?